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憩の園開園50周年祝う=創立者、功労者を顕彰=宮腰ホールに記念プレート

ニッケイ新聞 2008年7月29日付け

 五十周年を迎えた憩の園(社会福祉法人救済会経営)は、二十七日午前から「開園五十周年式典」を同園内で開催し、約四百人がお祝いに駆けつけた。式典のほかに、昨年から工事が進められていた「宮腰千葉太多目的ホール」の記念プレート除幕式と写真で同園の歴史を見ることができる「憩の園資料室(Sala de Documentacao IKOI NO SONO)」の落成式がそれぞれ行われた。
 第二次世界大戦で日伯間の外交が断絶されていた一九四二年に、救済会の前身「サンパウロ市カトリック日本人救済会」が設立。その後、五三年に法人として正式に設立された。
 救済会は、サンフランシスコ修道院から、教会や宿舎など様々な施設の整った十アルケールの土地を寄贈されることになり、移民五十周年を記念した五八年に憩の園が誕生した。
 当初は、五十歳から六十歳までの比較的健康な人たちが入園していたが、老人福祉を専門に扱うようになった。現在では、八十歳から九十歳の専門介護を要する人たちになっている。
 式典当日は午前十一時からミサが行われ、関係者は讃美歌を唱和した。ミサに引続き、正午から記念式典が行われた。
 吉岡黎明会長は「今年は移民百周年、憩の園開園五十周年の記念すべき年。今年資料室や多目的ホールの落成式が行えることを嬉しく思う」と喜びを表し「ボランティアの人たちがいるからこそ、同園は成り立っている」と関係者に感謝の言葉を述べた。
 続いて行なわれた特別表彰では、創立者の渡辺マルガリーダ・トミさん、創立当時に多大な協力をしたイルマンジーニョス・ダ・イマクラーダ・コンセイサン修道会(現カリタス会の前身)、創立当時の理事の一人で長年奉仕をしてきた芳我定一弁護士、最初のボランティア医師の辻マリオさん、創立当時から同園に関係する報道を行ってきたニッケイ新聞(パウリスタ新聞、日伯毎日新聞)とサンパウロ新聞を表彰。
 また、長年会長を務め現顧問会の一人左近寿一さん、長年同園に関わり理事を務めた大浦文雄さん、創立当時から同園に携わり長年事務局長を担っていた吉安園子さん、長年老人医療介護に携わってきたサンタクルス病院、老人福祉専門家の田網ボールンとみこさん、日本で同園の支援を行っている在日憩の園協力会、七一年から入園者にプラスチックアートを指導している土本真澄さんなど十三の団体・個人に記念プレートが手渡された。
 西林万寿夫在サンパウロ総領事、上原幸啓文協会長、与儀昭雄県連会長、菊地義治援協副会長などたちもあいさつに立ち、五十周年を喜んだ。
 式典後には、同ホールの入り口にある記念プレートの除幕式が行われた。同プレートは、同ホール建設に寄付をした団体、個人の名前が刻まれている。最後には、関係者一同で、ケーキカットが行われた。
 昼食会では、来伯中の中平マリコ歌手の歌謡祭も開催され、来場者はシュラスコを食べながら歓談した。
 故宮腰千葉太さんの息子の宮腰巴夫さん(80、二世)も同式典に訪れていた。「父の名前がついたホールができたことを嬉しく思う」と喜びを表していた。

憩の園資料室が落成=半世紀の歩み写真で辿る

 構想から十一年でついに完成――。日本語が分からない人たちにも、憩の園の歴史を写真で見て理解できる「憩の園資料室」がこのほど完成し、記念式典に先立って落成式が行われた。
 吉岡会長は「この資料室の完成によって、同園の歴史を目で見て、分かることができるようになった」と嬉しそうにあいさつした。
 続いて、関係者一同でテープカットが行われ、来場者たちは、懐かしの写真を見ながら感慨に浸っていた。
 同資料室は約三十五平米の大きさで、正面にはマルガリーダさんの写真が飾られている。
 展示された写真は、同園開所式当時の様子や、宮腰千葉太多目的ホールが建設されていた場所にあったゲートボールコートでマルガリーダさんが打ち初めを行っている写真、著名人が同園を訪れた時のものなど。
 天皇皇后両陛下が同園を訪問された時の写真や、皇室からの恩賜の花瓶や皿なども展示されている。
 このほかにも、マルガリーダさんが故郷の鹿児島県や枕崎市から受けた表彰状や、日本政府からの勲章。マルガリーダさんの身分証明書やパスポートや同園の資料なども飾られている。
 同資料室の設置をいち早く提唱していた顧問会の大浦文雄さんは「九七年からの構想で、ようやく完成したことにホッとしている」と安堵の表情を浮かべた。
 続けて、「一番大事なことは、資料を失わないようにすること。これから日本語の分からない人たちが多く出てくるから、今のうちに(資料を保存するための)原点を残しておかなければならいない」と資料室に対する思いを語った。

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