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東西南北

ニッケイ新聞 2008年8月5日付け

 ディーゼル燃料の燐削減計画が大幅に遅れ、環境相をいらだたせているが、サンパウロ州では、雨不足で悪化していた大気の状態が週末の雨でかなり改善されたという。サンパウロ市では、日本移民百周年の記念式典以来、四十二日ぶりの雨が大気を潤し、呼吸器疾患や眼疾の患者には朗報。乾燥に加え、気温も平年より高かったサンパウロ市周辺での七月の水の消費量は、過去二十年の最高で、夏並みだった。
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 一日午後、サンパウロ州グアルジャーの海岸で九歳の息子と遊んでいた婦人が銃を持った青年に人質とされた。人質をとり約三時間。最後は警官らに発砲後、頭を打ち抜いて自殺した青年は十九歳。十五歳から麻薬を使い、都市第一コマンド(PCC)とも関係があったという。新飲酒運転禁止法施行後、麻薬に手を伸ばす人が増えたという情報もあるが、本人だけではなく、周囲の人も巻き込むことでは、どちらの影響も計り知れない。
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 無脳症で生まれながら一歳八カ月まで生きた女児が、一日夜、肺炎を起こしてその命を閉じた。通常は妊娠中に無脳症と判断された時点で中絶を勧められるというが、神が許して下さるところまでこの子とともにと、農夫である夫と別居して病院の近くに引越。できる限りを尽くしてきたという母親と、「あの子の手は見たこともないほどきれいだった」という父親。無脳症などの有無に関わらず、妊婦の一五%が中絶を試みるというブラジルで、もう一度命の尊厳が問われている。
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 工業生産は四年で最善の上半期の報と、造船業界で一万人解雇の報が二日に報道された。長期計画の立てにくい国だが、有権者には候補たちの選挙公約実現を見届ける位の気概は欲しいもの。

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