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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年10月8日付け

 ババ抜きというゲームがコロニアで一般的なのかどうかは知らない。あえて説明すれば、バラ―リョ(トランプ)で配られたカードを数人が持って抜き合い、対になったら捨てる。一枚入っているジョーカー(ババ)を最後まで持っている人が負け、というあれだ▼四日にあった百周年理事会に出席して、あまりの出席者の少なさ、三百万レアルという巨額の未払い金があることを知って「祭りの後」より即座に「ババ抜き」を連想した。はっきりいえば、傘下三十団体にしても、出席する意味がない。イベントは無事終わったし、残るは会計を含めた後始末だけだからだ。これに責任感を感じるかどうかは、「ジャポネース・ガランチ―ド」という言葉が生きているかどうかの問題だろう。もちろん何がババで誰が引かされるのかは言わぬが花だ▼「一過性のお祭りにしてはならない」ともよく言われてきた。九九年にあったペルーの百周年を取材したジャーナリストから、「十年後のペルー日系社会は目的を失ったかのようだ」との印象を聞いたことがある。もちろん、戦後移民が五万人おり、規模も違うブラジルと単純な比較はできないが、コロニアの方向性を大いに議論し、考える時期に来ていることは間違いない▼十一月に全伯コロニア代表が集まる文協フォーラムがその役割に近い。しかし、年一回のフォーラムの効力が出るのはいつだろうか。しかも、トップは同じだ。来年の選挙を機に一抜けたーとなるのは目に見えている。ババを残さず、次世代に渡すのが、せめてもの誠意だろうが、すでにババは一枚だけではないような気がする。 (剛)

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