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CIATEシンポ=社会保障協定に手ごたえ=日本の厚労省関係者が報告

ニッケイ新聞 2008年10月18日付け

 二国間交渉の議題にものぼっている日本とブラジルの社会保障協定の締結に向けて、政府レベルで話し合いが進んでいるようだ。このほど日本の厚生労働省や外務省などで構成する社会保障作業部会から四人の関係者が来伯、ブラジル側の部会関係者と協議し、前向きな手ごたえを得たという。
 十二日にサンパウロ市内ホテルで開かれたCIATE(国外就労者情報援護センター、二宮正人理事長)の「二〇〇八年度CIATEコラボラドーレス・シンポジウム」で、厚生労働省年金局国際年金課企画係長の中井麻祐子さんが報告した。
 中井さんは「ブラジル側でもこの問題を前向きに対応したいと考えている。いつになるかは分からないが、将来的には両国で社会保障協定が結ばれる方向にある」と明らかにした。
 両国で社会保障協定、その中でも年金の通算協定が締結されれば、デカセギやブラジルの進出企業は、保険料の二重払いによる〃掛け捨て〃がなくなる利点がある。
 デカセギにとっては、ブラジルで加入していた年金加入期間と日本での保険料納付期間を合算し、日本の年金受給条件の二十五年を満たせば、日本で支払った保険料に相当する金額を日本からもらえるようになる。
 また、ブラジル駐在企業にとっては、日本の年金法令だけが適用されるようになり、人件費の削減につながるだけでなく、新たにブラジル進出を考える企業にとっても有利になる。これに関して、社会保険庁ホームページによれば、「相手国への派遣の期間が五年を超えない見込みの場合には、当該期間中は相手国の法令の適用を免除し自国の法令のみを適用し、五年を超える見込みの場合には、相手国の法令のみを適用する」と定められている。
 日伯両国の社会保障協定に関する会合は、〇五年にルーラ大統領が訪日時に初めて正式におこなわれた。昨年十月に二回目の会合が東京であり、今回は三回目。今後の会合予定は今後調整していくという。
 なお、同ホームページによれば、現在日本はドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダの七カ国と社会保障協定を結んでいる。

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