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堅実に進む「新アルモニア学園」構想=サンベルナルド=幼稚部校舎の上棟式挙行=OB、関係者の支援が結実=落成後は高等部建設を=「理想あればできる」

ニッケイ新聞 2008年10月30日付け

 サンベルナルド・ド・カンポ市の日系学校、アルモニア学園は二十六日、昨年六月から建設工事を進めていた幼稚部の新校舎の上棟式を開いた。統一地方選挙の決選投票と日程が重なったが、学校関係者やアルモニア学生寮の元寮生など、約五十人が参加し、ハレの日を祝った。落成式は来年二月ごろの予定。「アルモニア日伯学園構想」プロジェクトは着実に進んでいる。
 新校舎の増築計画は、移民百周年記念事業として、二〇〇五年八月に正式に固められた。幼稚部校舎の完成後、六百万レアルに及ぶ資金を集め、高等部の校舎を建てる予定。両校舎の完成後、学園名を「新アルモニア学園」に改称し、将来的には、日伯学園化するプロジェクトが進んでいる。
 幼稚部校舎の建設費、約百四十万レアルは、一般企業や全伯に散らばる同学校の卒業生はじめ、学校の前身であるアルモニア学生寮の元寮生や日本から同僚に寄宿した研修生ら、百五十人ほどからの寄付で工面。関係者が各地を歩き回り、協力を呼びかけた結果だ。
 強い日差しが照らすなか、上棟式は新校舎の入口で開かれた。アルモニア学生寮の第一期生である、アルモニア教育文化協会の和田忠義会長があいさつした後、大浦文雄同協会顧問がプロジェクトの経緯を説明。幼稚部校舎の建設後、予定している高等部の建設資金の工面に触れて、「現状では難しい。しかし、理想を持っていれば何年か後には達成できる。皆様のより多くの協力をお願いしたい」と述べた。
 来賓の丸橋次郎在聖首席領事は、校舎増築プロジェクトを百周年記念事業として意義深いと称えたうえで、「困難が多くありながらもここまでたどり着いたことは、日系社会の協力性を象徴している。最終的な目標を達成されることを期待したい」と激励した。
 続いて、アルモニア学生寮の第二期生の渡部和夫同協会評議員委員長があいさつした後、出席者は工事中の新校舎内を見学し、紅白のもちを土産に受け取った。
 アルモニア学園は、地方から出聖してきた学生を支援する目的で、一九五三年九月に「ブラジル力行会」によって作られたアルモニア学生寮から始まった。多いときには二百人ほどの寮生がいたが、時代と共に日系社会が豊かになり寮を利用する学生が減少。九二年、創立四十周年の年にブラジル公認初等学校・アルモニア教育センターを開設した。
 九八年に、室内体育館をつくり、〇二年に高等部を創設した。現在、三歳から十八歳まで、約三百五十人が通い、その三割が日系子弟。日本語が必修科目なほか、和太鼓、碁、柔道など日本文化に関わる科目を積極的に取り上げている。
 新校舎の建設後、最大で九百人規模の生徒を受け入れることができるという。

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