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子孫が移民の歴史つづる=JBC=両語で『ありがとう』出版=漫画『芋拾いの男/お針子のせがれ』も

ニッケイ新聞 2008年11月19日付け

 日系人のジャーナリスト、新井ジョニーさん(35、三世)と平崎光信セザルさん(26、二世)共著による『ありがとう―ブラジルへやって来た日本人移民のドラマティックな歴史』(日ポ両語)が、日本移民百周年を記念してJBC出版社から発行された。同社ではこのほかにも、記念の漫画『芋拾いの男/お針子のせがれ』も同じく二カ国語で出版している。
 「ありがとう―」は日本人移民百年間の軌跡を克明に追っており、百年前から現在のデカセギ現象に至るまでが簡潔にまとめられた一冊。
 一章は「コーヒー農園への到着」、二章「開拓地の生活」、三章「戦前・戦中・戦後の移民」、四章「祖国になったブラジル」、五章「デカセギたち日本への帰参」、六章「誇るべき遺産」。また歴史秘話として移民史の様々な豆知識も書かれている。
 新井さんは同書の取材活動などのために東京で四年間、平崎さんは茨城県で三カ月工場に勤めデカセギの勤務実態などを取材した。著者の二人が移民の子孫という自身のアイデンティティーと向き合って書いた渾身の一冊だ。
 新井さんは、今まで日本移民に関する本は難しいものが多く、誰でも読め簡単に理解できるものがなかったとして、「普通のブラジル人や若い日系世代が歴史をよく理解できるようにシンプルな語調で書いた。この本を読んで日本人移民が残した教訓を学んでほしい。そして日本人の世界に誇れる価値観を知って欲しい」と話している。
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 百周年を記念して出版された二カ国語版の漫画『芋拾いの男/お針子のせがれ』は、右から笠戸丸移民の日本人男性を描いた「芋拾い―」、左からブラジル人の元奴隷の子供を描いた「お針子―」が展開している。そして最後に二つの独立した物語が一つになる。
 ジャーナリストのリカルド・ジアセチ氏(36)が物語を、ブルーノ・ダンジェロ氏(31)が絵を担当している。物語は史実を元にしており、その歴史の研究は二年にも及んだそうだ。
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 「ありがとう」は一冊四十九レアル。「芋拾いの男/お針子のせがれ」は一冊二十四・九〇レアルで、日系書店などで販売中。問い合わせはJBC出版(11・5575・6286)まで。

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