ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年1月30日付け

 アニメや漫画のようなポップカルチャーだけでなく、伝統的な日本文化の世界にも、非日系人の姿が目立つようになってきた。例えば、藤間流舞踊学校の芳冠名取りやレナンさん、茶道裏千家エリッソン・トンプソン・デ・リーマ・Jr第二副代表、丹下せつ子太鼓道場の非日系新入生徒などはその良例だ。日本文化に興味をもつブラジル人を引き込むことは、団体活性化の一つのあり方かもしれない▼聖南西文化体育連盟の山村敏明会長からは、何度か「文協は日本人種を守るところじゃなくて、日本文化を継承、普及するところだ」という考え方を聞いた。実際、日系人の配偶者を探そうにも人数の関係で難しいような地域では、日系だけの活動にこだわると先が見えてしまう▼非日系と一緒にやっていっても、日系団体としての核は残す必要がある。定款をよく考え、理事会の中心メンバーはコムニダーデの人間で維持するのが望ましい。と同時に、日系団体としての特徴である「時間厳守」「みんなで準備や後片付けを手伝う」「敬老精神」「日本語や日本文化を尊重」などをしっかりと新入会員に教え、雰囲気を壊さない配慮が大事だ▼四歳で渡伯した山村さんは「自分は一世だが、二世だとも感じる」と述懐し、「一世、二世に分ける考え方は好きじゃない。みんなコムニダーデ・ニッケイだ」と考える▼百周年後は一世、二世と争っている時期ではない。若者がいない団体に将来がないのは言うまでもない。一世の居場所がちゃんとあり、二世が安心してポ語で自分の意見を言えるバイリンガル環境が大事だ。百一年の今年は、大きな転換期だ。(深)

image_print