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「日本に残りたい人多い」=飯星、ウー連議が訪日報告=帰伯デカセギの支援を模索=職あっても日語できない=子弟の不就学に対策を

ニッケイ新聞 2009年3月27日付け

 【既報関連】金融危機の影響で困難に直面する在日ブラジル人の現状視察、支援の呼びかけのために、今月十四日から訪日中だった伯日国会議員連盟会長の飯星ワルテル下院議員と副会長のウィリアン・ウー下院議員が帰国し、二十三日午前十一時からサンパウロ市ホテルで記者会見を開いた。「職を失ってもなお、ブラジルに帰らず日本に残りたいと思っている人が多かった」と飯星議員は率直な感想を述べ、さまざまな課題とともに、今後ブラジル政府に対してどのような支援を呼びかけてゆくかを語った。
 関係官僚、自治体、ブラジル人団体・企業の関係者らと相次いで懇談した両連議。十七日には日ブラジル会議員連盟会長の麻生太郎首相と面会し、懇談は予定していた倍となる四十分にも及んだ。
 飯星議員は、親が職を失い、学校に行けない子供が多く出ている現状を説明。ほとんどのブラジル人学校が日本政府の公認を受けていないことが、大きな原因の一つとし、危機の中でも教育をしっかり受けられ、柔軟に対応できる体制の必要性などを話し合ったという。
 また、静岡県浜松市や愛知県名古屋市などでの関係者との懇談では、自治体が在日ブラジル人に対して行なっている支援活動を知る上で、さまざまな問題が浮き彫りになったという。
 飯星議員は、大きな問題の一つを「六〇から七〇%の人は日本語も日本文化も知らない」と指摘。今まで派遣会社のみを頼りに不自由なくやってきたが、「レストランやコンビニのバイトや、農業、介護分野では仕事があるのに、日本語ができないためにチャンスをものにできない」。
 また情報を知ることすらできないことを懸念し、昨年から飯星議員らが提案している「カーザ・ド・トラバリャドール」の設置など、生活に必要な情報などのポルトガル語での提供を進めたいと話していた。
 今訪日で、浜松の地元ブラジル人らとの懇談などで、多くが「何とかして日本に残りたい」と話すのが印象的だったという飯星議員。今回の危機で日本語学習の必要性を感じ、JICAやNGOなどの無料講習などを積極的に受ける人がいるという。
 しかし、職を失い貯金も尽きてどうしようもなくなった人たちのために、岐阜県が旅費を融資する支援策を打ち出したのと同様、ブラジル政府にも三年間の返済猶予付き融資などを求めてゆく考えを示した。
 また帰国後の子弟の教育問題に対して、各校に日本語のできる教師を配置したり、各地文協などと提携してブラジルの教育システムの中に徐々に溶け込めるようなシステムが必要とし、今後連邦政府に支援を呼びかける旨を語った。