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浜松にも「派遣村」=ブラジル人ら窮状訴え

ニッケイ新聞 2009年4月1日付け

 【静岡新聞】派遣契約の打ち切りなどで相次ぐ失業者を支援する「トドムンド浜松派遣村」が三月二十九、三十両日、浜松市中区中央一丁目の東ふれあい公園で開村した。生活困窮者百八世帯が雇用や生活などに関する相談に訪れ、弁護士や司法書士らが応じた。住宅の確保や、臨時開設された市役所の生活保護申請窓口で手続きを済ませる来場者もみられた。
 「トドムンド」はポルトガル語で「みんな」という意味。初日は弁護士、司法書士、看護師ら百八十一人がテントを構え、国籍や性別を問わずにすべての来場者を受け入れた。住居がない人はアパート契約を結んだり、市社会福祉協議会から当面の生活資金「くらしの資金」を借りて宿を確保。同市医師会の協力で無料の健康相談も行ったほか、カレーやおにぎりなどの食料も支給された。
 菊川市に住むブラジル国籍の女性(48)は、二月中旬に勤務先の自動車部品製造工場から派遣契約を打ち切られ、それまで住んでいた社員寮を退去した。現在は友人の家に身を寄せているが、「仕事がなくて、あしたの生活も分からない。早く住む家を探さないと」と不安顔。生活保護について説明を受け「相談に乗ってもらってよかった。すぐに仕事を見つけます」と語った。
 心筋梗塞(こうそく)を患い、製造業の工場を解雇された掛川市の男性(52)も四月で社宅の退去を迫られ、住宅支援と医療相談に訪れた。「仕事が欲しいけど、今の体調では働けない。まずはちゃんとした生活をしないと」と切実な表情。十五年以上にわたり路上生活を続けている男性(75)も訪れ生活保護の申請についてアドバイスを受けた。
 三十日も午前九時から午後三時まで同公園で法律相談の受け付けや食料の支給を行うほか、公園から市役所までの道のりをデモ行進する。

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