ニッケイ新聞 2009年4月23日付け
宮坂国人財団(Fundacao Kunito Miyasaka、アントニオ・ローザ・ネット理事長)は十五日夜、サンパウロ州工業連盟(FIESP)内で「移民公園(Parque Imigrantes)」構想の発表セレモニーを行った。同構想は総工費千二百八十七万レアルをかけて、サンパウロ市とサントス市を結ぶイミグランテ街道沿いの海岸山脈内に四十八万平米のエコロジー公園を建設するもの。総合コーディネーターの大田レオさんはニッケイ新聞の取材に対し、なぜ今、同財団が打ち出すのかについて「百周年後を睨んだ、日本人によるブラジル社会への貢献の象徴として、三年前から練ってきました」と説明した。
すでに三十八万レアルを同基金自体が先行投資して、環境関連官庁の許可申請をし、建設の構想案を練っている。
今後、総工費の残り分は一般企業からの協賛金を集めて充填する。申請中の環境関連許可が下り次第、予定では来年初めから着工し、二〇一一年中の完成を目指す。工期は十八カ月間の見通し。
大田さんは「すでに幾つかの企業から好感触をえている」と語る。今後、本格的に依頼して回ることになるようだ。
設置場所はイミグランテ街道三十五キロ地点にある、ビリングス湖に隣接した四十八万平米の土地。サンパウロ市の一千万市民を中心にABC地区やサントス市民ら合わせて千五百万人以上が、貴重な海岸山脈の自然環境を壊すことなく親しめる公園となるよう構想された。
入り口から近くの丘の上まで空中通路が特設される。丘の上には子供向けの社会・環境に関する教育施設はもちろん、スポーツ施設、劇場、図書館、マルチメディアセンターなどさまざまな用途で活用できる場所になる見通しだ。自然に親しめるように付近の森林内に遊歩道も作られる。
セレモニーでは、サンパウロ州環境局長官代理のボリス・アレシャンドレ・セーザル州立公園管理役員は「民間主導で、このような有意義な取り組みが行われることに心から感謝したい」とのべた。
またサンベルナルド・ド・カンポ市のジバ・マイソン環境局長も「これは海岸山脈の価値を上げる計画だ」と喜んだ。さらに同工業連盟会長代理、ワルテル・ラザローニ顧問は「昨年の百周年ではいかに日本人がブラジル社会によく受け入れられたかが示されたが、それに対する日系社会側からの環境面におけるブラジル社会への連帯の姿がこの構想に現われている」と高く評価した。
最後に各関係団体代表が「移民公園」と刻まれた記念プレートの除幕を行った。