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パラナで開拓先亡者慰霊祭=ローランジア=感謝と将来の繁栄誓い=丹会長「先人は我々の誇り」

ニッケイ新聞 2009年6月24日付け

 パラナ日伯文化連合会(丹フランシスコ多喜男会長)は、二十日午後二時からローランジア市のパラナ移民センターで「パラナ開拓先亡者慰霊祭」を行なった。ブラジル日本移民百一周年を記念した今年の慰霊祭には、佐藤宗一在クリチーバ日本国総領事など来賓をはじめ約二百五十人が参列。丹会長は先人の苦労を偲び、「我々の誇り」と感謝を表わした。

 法要は晴天の下、司会・吉田パウロ氏の開式の言葉により始まった。
 丹会長は、「先亡者らは違った文化の中でも規律を保ち苦労を乗り越え、ブラジルに社会的、経済的に貢献してきた。我々の誇りである」と追悼の言葉を述べた。
 夫人が慰霊碑に供花した後、佐藤総領事は「日伯の友好関係に貢献した先亡者に御冥福を祈る。パラナ日系社会の有望な人材をもって、次の百年に向けた発展に期待したい」と述べた。
 ローランジャ仏心寺の黒沢慈典導師による読経が流れる中、丹会長、佐藤総領事を先頭に出席者全員が焼香。
 同慰霊祭の導師を務めるのは今年三度目という黒沢導師は、焼香後の法話で、「移民百一年を供に過ごせたことに感謝している。今後も日系社会の繁栄を期待し、供に先亡者の魂を受け継いでいきたい」と語った。
 ロンドリーナ生長の家コーラス部「白鳩グループ」の五十三人が日語・ポ語の両方で「エーデルワイス」を歌い、「朝は鳥になり、夜は雲になって私たちを見守ってくれた先人たちを偲んで」と「千の風になって」を先亡者に捧げた。
 法要の終わりに上口誠一同連合会名誉会長があいさつし、「日系人としての喜び、誇りを持って今後も先亡者に敬意を払っていこう。日系社会の発展に努めよう」と決意を新たにした。
 終了後、出席者はセンター内の会館へ移り、昼食懇親会を開催。ローランジャ文協「勇和太鼓」の二十三人による演奏が賑やかさを加えた。
 西森ルイス弘志パラナ州議会議員は、「今日の演奏を聞き、各日本文化団体の活動が毎回良くなっているのを感じ嬉しい」とあいさつ。さらに「どのような思いで先亡者が移民してきたのか考え、それぞれの心に残していこう」と語りかけた。
 同市のジョニー・レマン市長もあいさつに立ち、「日系コロニアの成長が市に与えた影響は大きい。神の思し召しで、ブラジルの発展のためにも移民の動きが起こったのではないか。ブラジルを代表し敬意を示したい」と述べた。
 江頭美・同連合会会長補佐が、両親がコーヒー農園で苦労していたことなど自身の幼少時の思い出を紹介。上野アントニオ義雄・元連邦下議の発声で一同乾杯、食事を囲んで懇談した。
 総領事夫人の裕子さんはニッケイ新聞の取材に、「先亡者の百年の苦労があって今があること、この地で日本文化を重んじる心が残っているのを感じた」と感想。
 三世の磯山ジェシカ・ユミさん(20)は、「祖父母から移民に関する話はよく聞いている。自分たちのルーツを感じた。次の世代にもそれを忘れずに伝えていきたい」と語った。
 食事の後は、ローランジア文協コーラス部、ロンドリーナ生長の家コーラス部と供に会場全員で「ふるさと」、「海を渡って百周年」を合唱し、閉会した。

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