ホーム | 日系社会ニュース | 各国コミュニティが一堂に=今年も恒例「移民祭り」=2万人が食と芸能を満喫

各国コミュニティが一堂に=今年も恒例「移民祭り」=2万人が食と芸能を満喫

ニッケイ新聞 2009年7月7日付け

 サンパウロ州移民記念館で六月二十一、二十八両日、恒例の「移民祭り」が開催された。日系はもちろん、イタリアやポルトガル、ハンガリー、ロシア、ペルーなど二十カ国以上のコミュニティが参加して自国の料理や民芸品を販売。舞台ではそれぞれの歌や踊りが披露され、二日で約二万人が訪れた。
 十九世紀末から約二百五十万人の移民が渡伯後の日々を過ごしたサンパウロ州移民収容所。現在は移民記念館となった建物で開かれる「移民祭り」は、今年で十四回目を数える。
 二日目の二十八日、軌道敷が残る入口前には入場券を買う列が約五十メートルほどできる賑わい。会場内は常に混雑し、特に各国自慢の郷土料理の店には長い列が出来ていた。
 ドイツ系とオーストリア系が共同で出店したブースでは、パンとドイツ風フランクフルト、じゃがいもとベーコンの炒め物をトッピングしたプレートが人気。
 ロシアの店ではナスと香草、にんにくのマリネ「Baklajanie」やチャイ(tchai)。イスラエルの屋台では、潰したじゃがいもを厚いパスタ状の生地に包み、牛たんステーキを玉ねぎソースと共に煮込んだスープ「Vareneckes acebolado com Carne assada ao Madeira」など〃お国自慢〃の料理が並んだ。
 各コミュニティの民芸品も販売。ペルーの店ではフォルクローレの衣装や、国民的な飲み物「INCA KOLA」など、オランダのお店では風車を形どった陶器、日系のお店では手作りのポーチやしおり、ビー玉入れ、ブローチなどが売られていた。
 会場内ではいたるところで民族衣装に身を包んだ人々の姿。各コミュニティの民族音楽が常に流され、幾多の移民が通り過ぎてきたサンパウロならではの多国籍な雰囲気を醸し出していた。
     ◎
 移民収容所(Hospedaria de Imigrantes)は奴隷制廃止の年、一八八八年に近代的な移民の受入れ施設として竣工(未完成の一八八七年に最初の移民受入)。この建物は現在、サンパウロ州移民記念館として使用されている。

image_print