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「日本とブラジルつなぐ本に」=「百年の水流」ポ語版を祝う=外山氏「2、3、4世にも」=文協

ニッケイ新聞 2009年8月21日付け

 フリージャーナリスト外山脩さんの著書「百年の水流」ポ語版「Cem anos de aguas corridas da comunidade japonesa」(翻訳・林慎太郎、六百頁)の出版記念会が、十八日午後七時からブラジル日本移民史料館で行われた。約二百人が出席。島内憲駐伯日本国大使もブラジリアから駆けつけた。
 二〇〇六年に出版されコロニアのベストセラーとなった同書。コチア、南伯産組の崩壊、南銀の買収、勝ち負け抗争など、日系社会百年の歩みを、綿密な取材と史料により描いた一冊として、〇七年のコロニア文芸賞を受賞した。
 日本語での出版後からポ語でも出版すべきとの声が多くあがり、〇七年から翻訳作業が進められていた。
 出版会には島内大使、大部一秋在聖総領事、千坂平通JICAサンパウロ支所長、木多喜八郎文協会長、支援者の永山八郎さんはじめ約二百人が出席した。
 共催団体のニッケイ新聞社高木ラウル社長は、「我々の歴史には悲しい部分もあるが、それを残し読んでいかなければ」と訴えた。
 ブラジリアから訪れた島内大使は、「この作品は、歴史における偉業。多くの人に読まれ、日本とブラジルをつなぎとめるものになれば」と外山さんを労い、大きな賛辞を送った。
 木多文協会長も、「この本は、多くの人の歴史への興味を引き付けるはず。そして、我々の将来に反映されるだろう」と述べた。
 最後にあいさつに立った外山さんは、「歴史を振り返ってみなければ、将来も見えない。二世、三世、四世の人にも読んでもらいたい」とその思いを語った。
 会場では約百冊の本が販売され、外山さんにサインを求める列ができた。日本語版を予約する人もあった。
 「十四年かけて死ぬ思いで執筆した」という外山さん。「特に真実を掴むのに苦労した」と出版までの歩みを振り返った。
 ポ語での出版に際して「命がけで取り組んできた作品。今はまだ、表現の仕様がない気持ちです」と興奮冷めやらぬ様子を見せながら、「歴史上の事実を知り、将来に目を向けて欲しい。この本が出版されたことを多くの人に知ってもらいたい」と願いを語った。
     ◎
 ポ語版は一冊四十八レアル。ニッケイ新聞社、各日系書店、移民史料館、サンパウロ人文科学研究所で販売している。
 日本語版の購入を希望する人は、直接外山さん(電話番号=11・5594・3825、又はメール=osamu.toyama@itelefonica.com.br)まで。

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