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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年8月21日付け

 一カ月休暇を終え、昨日から仕事に復帰した。会う人ごとに「どこへ旅行されたのですか。パリ、ロンドン?」と質問されるので、「ちょっと〃サンパウロのスイス〃(カンポス・ド・ジョルドン)まで」というと近すぎるせいか、だいたいガッカリされる▼同地では援協の老人ホーム主催の桜祭りが行われるなどコロニア的には桜の名所だが、一般的にはアルプス風の町並みで有名な観光地だ。面白いことに、サンタカタリーナ州のようなドイツ系子孫などがつくった〃本物〃の町ではないが、標高が千六百メートル以上あるために夏でも涼しく、昔から結核などの保養地として知られ、欧州貴族邸宅風の別荘などがあったことから、そんなイメージができあがったようだ▼雪もめったに降らない場所なのに、深雪地帯なみの急角度な屋根の家並みというのは、なんとも不思議な感じだが、それが同地の売りだ。レアル銀行などの建物や巨大スーパーまでアルプス風で徹底している▼あれを見て、リベルダーデ広場のブラデスコ銀行支店が百周年で大阪城風に改修したのは、伯国企業の発想の中では当然のことだったのだと納得。伯人建築家による「天皇陛下通り計画」第一期工事の一環として、ガルボン街と広場に東洋風の軒がついただけで、確かに雰囲気が変わった▼日本人は華美な外見をいさめる傾向があるせいか、東洋街の日本人商店はあまり和風の外観に投資してこなかった。しかし、当地において見かけはある意味、中身より大事なのだ▼でも、カンポスの山並みに張り付くように建つファベーラ地区の家まで、アルプス風なのは、どこか微笑ましかった。 (深)

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