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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年9月15日付け

 写真には濃密な情報が秘められているし、ニュース性に満ちている。これはTVの映像も同じだし、活字文化の新聞や雑誌でも大きな役割を果たしている。見方によっては、文字による記事よりも訴える力が強い。これを如実に見せたのが、あの湾岸戦争とNYの9・11であった。イラクのクエート侵攻を咎める湾岸戦争でのミサイル攻撃の凄さは今に語り継がれる▼米のCNNが放映したのだが、米海軍の「トマホーク」巡航ミサイルがテレビゲームのように敵の陣地に命中するTVの画像に世界中が仰天したのは記憶に新しい。もうーあの白兵戦などではない。新兵器が宙を飛び、さながらSFの世界が現実になったの印象が濃い戦争であり、イラク軍の戦死者は10万人から15万人。アメリカと国際軍は186人の死亡なのである▼そしてー3000人近くの市民が瞬時に遠逝に追いやられたNYの同時テロである。あのニューヨーク名物だった世界貿易センターやワシントン郊外の国防総省にイスラム原理派が乗っ取った旅客機で突っ込むとはーまったく想像もつかない悲劇だった。事件発生の直後にブッシュ大統領は「これは戦争だ」と語りアフガン戦争とイラク戦争にまで進み、混迷は現在に続く▼あの巨大なビルの上層部に旅客機が衝突し炎上、倒壊する映像に世界の茶の間は「アッ」という驚愕で埋まった。あの日から8年がたち今年もまた犠牲となった2752人の冥福を祈る追悼ミサがあり、遺族や市民らは無念の怒りを抱きながらの祈りであったのは真に哀しい。
 (遯)

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