ホーム | 日系社会ニュース | 被爆者協会=平和大使2人迎え定例会=環境シンポに参加=放射能漏れ被害者と交流

被爆者協会=平和大使2人迎え定例会=環境シンポに参加=放射能漏れ被害者と交流

ニッケイ新聞 2009年9月29日付け

 ブラジル被爆者平和協会(森田隆会長)は21日、サンパウロ市サウーデ区の日本食料品店「スキヤキ」で月例会を開催し、被爆者健康手帳の申請に関する裁判の経緯や、ゴイアニアで行われた環境シンポジウムについて会員ら12人に報告した。また、07年に高校生平和大使として国連を訪れ、平和に関するスピーチを読み上げた李建雨さん、草野昴志郎さんの二人も特別に参加した。
 87年に発生した放射性物質セシウム137の放射能漏れ事故について、ゴイアスのカトリック大学で17、18両日開かれた環境シンポジウムの分科会内で取り上げられ、森田会長、盆子原国彦副会長、渡辺淳子理事らが体験発表をし、平和大使の二人も平和についてスピーチをした。
 平和大使の二人はリオやブラジリア、ゴイアス、サンパウロで広島、長崎で被爆した人の証言ビデオを撮影した。これはDVDにまとめ、長崎の原爆資料館に保存され、誰でも見られるようにするという。
 シンポで森田会長一行は放射能漏れ事故の被害者らと会い、被爆者同士の交流をした。当時、セシウム137が見つかった場所や、ドラム缶に入れられ雨ざらしにされていた場所なども見学した。渡辺理事は「彼らの姿は昔の私たちの姿」と述べ、「希望も何もない」という彼らを励まし勇気付けたという。
 平和大使の二人は月例会に参加し、平和や核兵器に対する思いを語った。祖父が長崎で被爆した被爆三世で、韓国から参加した李さんは韓国での署名活動にも奔走した。国連で日本以外にも被爆者がいることを伝えたという李さんは「ゴイアニアにも被爆者がいることにショックを受けた。ブラジルを訪れる事ができたのは貴重な経験」と感想を語った。
 また、祖母が被爆したという、被爆三世の草野さんは現在、東京大学に通う大学1年生。平和活動や貧しい子の支援活動をしている高校生を手伝い、平和にまつわる勉強などをしている。草野さんは「祖母と同じように苦しむ人がいると知り、衝撃を受けた」と感想を語り、「ブラジルの平和活動の実態や意見を知りたい」と皆に話しかけた。
 盆子原副会長は在ブラジル被爆者手帳裁判の経緯を説明、7月に藤田雄山広島県知事が控訴を取り下げ、一審の勝訴判決が確定したことを説明した。また「海外在住の被爆者は手当受給権を失う」という、厚生省(当時)が1974年に発したいわゆる「402号通達」に関する国賠訴訟の現状を説明し、現在、在ブラジル被爆者の原告は107人いることが話された。
 さらに、盆子原副会長は「(要求の)80%には達している。あとは現地治療、これが使命」と語気を強めた。現在、隔年で日本から被爆者健診のための医師団が派遣されるが、森田会長らは日常的に受けられる、現地治療の制度確立を目指している。

image_print

こちらの記事もどうぞ