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文協評議員会=ひばりフィルムコンサートに賛否=反対あるも、予算案採決=「文協は興行師みたい」=一時騒然、途中退場も

ニッケイ新聞 2009年12月15日付け

 予算案を強行採決―。ブラジル日本文化福祉協会評議員会(大原毅会長)は、「第137回評議員会」を12日午前9時から、文協ビル会議室で開いた。106評議員の6割にあたる67人(うち委任状14)が出席した。来年度事業案に続き、予算案で42万レアルが計上された『美空ひばりフィルムコンサート』に対し、評議員から、「文協のやる仕事ではない」「改修事業が先。優先順位を考えよ」などの批判が飛び出し、一時紛糾したが、最終的に多数決で承認したことで、途中退場者が続出した。最後に資金調達に関するキャンペーンの説明もあったが、すでに出席者は半数以下となっており、後味の悪い評議員会となった。

 「お役所じゃないんだから、工夫し、余剰金が残るような予算を立てるべきでは…」
 首を傾げながら、そう意見を述べた網野弥太郎氏は、「毎年同じことをやっていたら、評議員の出席率も悪くなるし、コロニアの関心も低くなる」と続けた。
 会計専任理事の国井ジェルソン氏は、昨今の経済危機で企業からの支援が見込めないとしながらも、「各委員会が独自の企画を実施している。あまり知られていない活動を広報することによって、予算案に工夫することもできるが、現時点ではこの方法でやるしかない」との見方を示した。
 来年度の予算は、314万336レで、昨年度は216万9309レ。委員会収入分が大幅に増えていることに疑問の声が上がった。
 国井理事は、「栢野定雄氏(副理事会長)が委員長となって進めている資金調達キャンペーンによる支援金を見込んだもの」と話した。
 続いて、サンパウロなど4カ所での開催が進められている『美空ひばりフィルムコンサート』の予算42万レについて、「これは興行師の仕事であって、文協事業として行うことではない」との批判が次々と上がった。
 「30万レは、企業支援、12万レは入場料で賄う」との頃末アンドレ氏(評議員会幹事)の説明に、音楽委員会の副委員長を務める羽田宗義氏は、「文協コンサートで5千レを集めるのも大変。どうやって30万レも集めるのか」と疑問を呈した。
 創立会員の原沢和夫氏も杖で立ち上がり、「こんなことはやるべきでない。絶対反対です」と言い切った。
 吉岡黎明氏は、「ひばりさんの人気は地方でもまだまだ高い。文協がこうしたイベントを行うのは意味がある」と同事業を意義付けた。
 五十嵐司氏(老ク連)も「ひばりさんは亡くなっている。DVDで見られるものを何故、文協がやる必要があるのか」と反対の立場を取った。
 「時間がない。早く採決を」「コンサートの件は外すべき」など賛成、反対両派の意見の応酬で熱を帯びた。
 弁護士で法務委員会の副委員長の原田清氏は、「理事会が承認した予算案を評議員会が認めないのは〃不信〃そのもの。国として考えれば、会長が罷免されても不思議でない状況だ」と話した。
 貞方賢彦氏(ヤクルト商工)は、「30万レもの支援金を集められるのであれば、文協の改修費に回すべきでは」と意見したが、国井理事は、「それぞれ性質が違うので、一緒には考えられない」と返答した。
 最終的に多数決(反対票7)で承認。強行採決に近い展開に、反対の表明か、途中退場する評議員も見られた。
 半分ほどとなった会の最後に、栢野氏(副会長)が「資金調達キャンペーン特別委員会」の説明を行った。
 映画館やレストランなどで特典が受けられる(来年3月から)会員カードの発行や、文協ビル改修に対する特別会員制度に関するもので、「会費未払いの会員も約1千人いる。文協活動の理解を頂き、徴収も行っていきたい」と話した。

【記者の目】=数決はコンセンサス!?

 「あんな大事なことをきちんとした話し合いもなしに、無理矢理決めるなんて…呆れました」
 初めて文協評議員会に出席した某法人評議員の代表は、そう取材記者に話し、苦笑した。
 開始時は6割が出席、熱気を帯びていたものの、強行採決後は半分以下の淋しいものとなった。
 『美空ひばりフィルムコンサート』の開催予算は、42万レアル(約2千5百万円)。企業から集めるとしている30万レは、来伯する関係者の宿泊費、渡航費に充てられるという。
 何故それほどまでの金額が必要なのかー。その内容は評議員らに提示されていない。
 残り12万レは4カ所で開催するコンサートの入場料と説明されたが、1カ所3万レとして、1千人が30レずつ払う必要がある。
 現在、文協主催で、1千人が集まる有料イベントがあるだろうか。地方で考えれば成功させるのは、至難の業だろう。
 予算案を見ると、8つの委員会は予算ゼロ。これから本格的な夏を迎えるが、大講堂には空調施設もない。こうした状況のなかで見直しを含めた反対意見が出るのは当然だろう。
 ともあれ、このような具体的な説明を欠いた事業を強行に採決するというのは、尋常ではない。
 文協を思えばこそ、土曜日の午前中に集まっている評議員の意見を無視するようなやり方は、上原体制と全く変わらないように思えるが、どうか。      (剛)

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