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「豊田豊、芸術の50年」=サンパウロ市で記念展と出版パーティー

ニッケイ新聞 2010年1月9日付け

 造形作家の豊田豊さんの芸術活動50年を記念した展示会が、先月11日から今月15日までサンパウロ市のイギリス文化センター(クルツーラ・イングレーザ)(R.Ferreira de Araujo,741,Pinheiros)で開催されている。あわせて半世紀の活動をたどった本「豊田豊、その芸術の50年(Yutaka Toyota 50 anos de Arte)」と映像DVDが完成した。14日午後7時から同所で出版記念会が行われる。
 東京芸術大学を卒業し58年にブラジルへ移住した豊田さんは、イタリアで彫刻の制作をはじめ、帰伯後のサンパウロ・ビエンナーレでイタマラチー買い上げ賞などを受賞。国内外で活動を続けるかたわら、ブラジルや日本で多くのモニュメントを手がけてきた。
 特に日本移民百周年を祝った2008年は、ロンドリーナやレジストロなど国内各地に計13の記念モニュメントを制作。昨年4月には初めての回顧展を開催している。
 半世紀の活動を振り返る同書は、仏国ソルボンヌ大学博士課程で美術史を学んだソニア・プリエトさんが約5年の期間をかけて取材・執筆し、デザインやパリ在住の著者とのやり取り等で息子の豊田ジャンニさんが協力した。同書とDVDの制作にあたっては州の文化事業恩典を受けた。
 芸術の世界に入った風景画から抽象画、そして彫刻へ。豊田さんは「子どもの時代からの歴史も書いてもらい、自叙伝のようなものになった。現在までの作品や内容を自身としても振り返ることができ、いい本ができたと思います」と完成を喜ぶ。
 ポ語、全208ページのオールカラー。2千部を出版し、国内の図書館や美術館、日本などに寄贈する予定だ。
 記念展示会は入場無料。開場時間は、月曜から金曜が午前10時から午後7時、土日は午前10時から午後4時まで。

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