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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年2月6日付け

 小沢一郎氏の師匠・田中角栄元総理は、白足袋宰相の吉田茂さんから「(刑務所の)塀の上を歩いている男」と評された。田中さんは若かりし頃も元気がいい。片山内閣が提出した炭鉱国営法案に強く反対し、福岡の炭鉱主等との交流も激しい。このためか炭鉱疑獄が起きると収賄の容疑で逮捕されたが、それでも衆院選に当選したので吉田さんの珍妙なる語録が生まれたらしい▼弟子の小沢幹事長は昨年の総選挙で陣頭指揮に立ち政権を握るとー早速に田中さんの墓に詣で「報告」したの報道があり、さすがは「名家臣」の想いを強くしたものである。これに加え難問の土地購入の疑惑を乗り切ったのは、まあーお見事としか申し様がない。あの事件のとき田中さんは法務次官で拘置所に収容されたが、小沢さんは不起訴なのだからーこの辺りの芸は師匠よりも2枚も3枚も上と見たい▼2番目の親分・金丸信元副総理は、小沢氏を評して「政界が混迷した時の総理大臣」としたが、確かに乱世には滅法強い。東京地検特捜部の不起訴が決まると、宇宙人総理大臣閣下は「小沢体制を維持」とご託宣する始末であり、実力1位の幹事長殿はあるいはニヤリとしたかどうかー。起訴された元秘書の石川議員の辞職論には猛反対だし「幹事長続投」をも仄めかしている▼それにしてもー小沢氏の師匠筋になる田中、金丸、竹下登元首相の3人は、揃いも揃って「政治とカネ」で失脚している。小沢さんは不起訴ながら政治的、道義的な責任は問われるべきだし、ここ暫くは自民党など野党の非難と攻撃は続く。(遯)

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