ホーム | 日系社会ニュース | 母県の芸能に来てほしい=鳥取県人会=麒麟獅子、傘踊りの招聘=日本祭りにあわせ計画

母県の芸能に来てほしい=鳥取県人会=麒麟獅子、傘踊りの招聘=日本祭りにあわせ計画

ニッケイ新聞 2010年2月11日付け

 鳥取県人会が母県の郷土芸能をブラジルに招聘する計画を進めている。現在候補に挙がっているのは、同県東部を中心に伝承されている獅子舞「麒麟獅子」と、県人会が実施するしゃんしゃん傘踊りの原型である「因幡の傘踊り」の二つ。すでに日本へ招聘の意向を伝えており、母県側の判断を待っている状態だ。県連日本祭り(フェスティバル・ド・ジャポン)開催される7月ごろの来伯を期待しているという。
 麒麟獅子は鳥取県東部、兵庫県に伝わる民俗芸能で、約350年前に藩主池田家によって興されたといわれる。通常の獅子舞と違って麒麟がモチーフになっており、面に角があるなど形も異なる。現在も140を超えるグループが毎年神社に獅子舞を奉納している。
 2006年に県の中堅リーダー交流事業で麒麟獅子グループの関係者が来伯し、移民100周年でのブラジル訪問が期待されたが実現しなかった経緯がある。
 西谷博・県人会名誉会長らによってブラジルに導入された傘踊りは、サンパウロ州はじめバイーアやブラジリアなど各地のイベントに出演する人気の芸能。昨年45回目を迎えた鳥取しゃんしゃん祭りでは、市からブラジル県人会が招待されるなど母県側との交流も続く。
 その原型である因幡の傘踊りは鳥取東部の鳥取市、国府町などに伝わる芸能で、雨乞いを祈願して踊ったのが始まりとされる。男衆が長い柄の傘を使って舞うもので、それがアレンジされて現在の「しゃんしゃん傘踊り」になった。
 県人会では、今年の県連フェスティバル・ド・ジャポン(日本祭り)が「郷土の伝承文化(A Arte das Provincias)」をテーマに開催されることから、同イベントが開かれる今年7月ごろの招聘を計画している。
 今月7日の同県人会定期総会で計画について報告した本橋幹久会長によれば、昨年末に竹内功・鳥取市長、平井伸治県知事へ希望を伝えており、母県側の対応を待っている状態。一方、今年4月に鳥取市長選挙が実施されることから、具体的な進展は選挙後になりそうだという。
 現時点では未確定の部分が多いが、実現すれば他の都道府県人会にとっても刺激になりそうだ。

image_print