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無線高速通信=フォーラム設置、緊密化へ=日伯関係両省が合意

ニッケイ新聞 2010年3月10日付け

 総務省とブラジル通信省が共催する「日伯ブロードバンド(高速大容量通信)ワークショップ」がサンパウロ市内のホテルで8、9日に行われ、「日伯ワイヤレスブロードバンド推進フォーラム」を発足させて、次世代携帯電話や高速大容量の無線通信分野などの技術や人材の交流を緊密化させていくことで合意した。
 06年に正式採用された日伯方式のデジタルTV放送は、南米各地に広がり事実上「南米方式」といえる状態になっており、今後、キューバ、コスタリカなどの中米、南アなどのアフリカにも広まっていくとみられる。
 「デジタルTVの成功を他の分野にも広げ、一層の緊密化を望みます」と総務省の寺崎明審議官は開会式であいさつ。島内憲註伯大使も「情報通信分野での戦略的パートナー関係構築への第一歩」と位置づけた。
 これに対し、通信省のロベルト・マルチンス通信次官は「デジタルTV日伯方式は現在5カ国に広がり、近いうちにさらに朗報が聞かれるだろう。今回、ブロードバンドという新しい共闘への一歩を踏み出した」とのべ、ブラジル側からも緊密化への意欲をみせた。
 ワークショップでは総務省通信基盤局の吉田靖電波部長が日本の情報通信技術の現状と政策を説明、続いて通信省の情報通信普及サービス部アチラ・ソウト部長が、全伯の公立校に無料の高速通信環境を整備する国家計画を説明した。
 今回のワークショップでは無線高速大容量通信、新しい携帯電話の通信規格LTE、テレビにネットをつないでいつでも好きな番組を見られるようにする技術IPTV、道路の渋滞情報などを提供するITS、光ファイバー技術などが紹介される。
 8日夜の夕食懇親会では、寺崎審議官は「日伯ワイヤレスブロードバンド推進フォーラム」設置の合意ができたことを報告し、マルチンス通信次官も「個人的な人間関係を超えて、省間の正式な制度としてフォーラムを発足させ、継続されるべきことだ」との意義を強調した。
 国土が広大なブラジルで高速情報通信網を整備する場合、無線方式が現実的との話があり、ブラジル側の関心に応える形で解決策を模索するフォーラムになる。緊密化すれば、同分野の先進技術をもつ進出企業のブラジルでの機器拡販など見込まれる。
 乾杯の音頭をとった大部一秋在聖総領事も「日本移民が強い絆を作ったブラジルと日本とが第3の黄金期を迎える」とし、「乾杯も日伯方式で。サウーデ、ビバ、カンパイ!」と祝杯をあげた。

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