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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年4月24日付け

 今年はハイチの大震災に始まりアイルランドの火山が爆発してと大騒ぎである。もしや地殻がぐらぐらと変動したのかな―と思うほどに災害が多い。あの地底から噴き出した噴煙は真っ黒に近く欧州の空は視界ゼロ。このために30ヵ国とかが影響を受け、旅客機は約2万便をキャンセルし、日本人も観光客などが約1万8千人も足止めという酷さである▼専用機が墜落し死亡したポーランドのカチンスキ大統領夫妻の国葬が18日に行われたが、この噴火のため飛行機が飛べなくなりオバマ大統領らは欠席せざるをえなくなり、寂しい葬儀になったのエピソードもあるし、真に非情な火山噴火である。この火山が大暴れした日に中国・青海省では大きな地震が起こり家屋は倒壊し、街は瓦礫の山と化した▼あの国は一昨年の四川大地震もあり、6万人超の犠牲者がいたし、自然の災禍を何回も体験している。あのときもチベット族の被害者がいっぱいだったけれども、今回の玉樹チベット族自治州も、「ラサ騒乱」が示すように漢民族への反抗心は根強い。但し、ラサほどに強硬ではないとされ、温和に富むが、胡主席が国際会議を振り切って帰国し被災地を訪れたのも、チベット族への配慮と受け止めたい▼しかも、青海州の中でもこの自治州は最も貧しい。農業と牧畜で暮らしており、平均年収は3千元(約4万1千円)と低い。そういう経済的に恵まれないチベット族が人口の97%を占めているのだから国家主席や温首相が駆けつけるのも無理はない。やはり根深い民族問題を抱えているのだが、今は1日も早い復 興を―である。(遯)

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