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ブラジル倫理の会10周年祝う=サンパウロ市=丸山理事長ら駆けつけ=「今後はブラジル人に注力を」

ニッケイ新聞 2010年6月16日付け

 「これからはブラジル人のためのブラジル語による倫理普及に力をいれてほしい」。ブラジル倫理の会10周年記念式典と記念講演会が13日午前、サンパウロ市内の宮城県人会館で約250人を集めて盛大に行われ、来伯した社団法人倫理研究所(本部)の戸田哲男常任理事はそう語り、さらなる発展に期待をこめた。日本から丸山敏秋理事長はじめ計16人がお祝いに駆けつけ、増え始めた非日系会員らと共に節目の日を喜んだ。

 聖北支部長の福屋則義が「何事も続けることが大事、倫理の良い教えをブラジルに発展させましょう」と開会の辞をのべたあと、日伯両国歌が斉唱され、徳力洋子さんが経過報告をした。
 99年8月の久保田貴美子会員による要請をきっかけに00年にブラジル支部が発足し、02年に政府から非営利団体として認証され、会員や支部を少しずつ増やし、08年には会館建設基金を集めはじめ、すでに浄財が6万5千レアルにもなった。09年にはサンパウロ州アメリカーナ市で「ポ語の倫理の集い」が開始され、非日系会員が続々と増えている状況が報告された。
 戸田常任理事の式辞に続き、来賓の祝辞ではニッケイ新聞の高木ラウル社長の後に、汎米日系人協会ブラジル支部の矢野敬崇(のりたか)会長が「新大陸の日系人はそれぞれの国の発展に尽くすために、ご先祖様の文化を学んでいる。日本の新興宗教にはここを拠点にして世界に拡大するところがある。倫理もブラジルから世界に飛躍することを期待しています」とのべた。
 功労者表彰では、倫理運動導入のきっかけをつくった久保田さんに、ブラジル倫理の会の山田充伸会長から感謝状が贈られた。ジルソン・バレットサンパウロ市議の賞賛の儀が代読され、「ブラジル経済界の機関車であるサンパウロ州に倫理を広めることは、国の発展にとって重要」とその活動を高く評価した。
 山田会長が「この国で一番大事なのは倫理の観念。もっとブラジル人会員に倫理を広めたい」と謝辞をのべた。
 式典の後、記念講演会に移り、体験発表が日本の会員一人、ブラジル人二人によって行われた。東京都江東区倫理法人会の本橋健司相談役は、苦難を超えて美容店を成功させた歴史を力強く語った。
 最後に丸山理事長が演壇にたち、「ブラジル人会員二人の発表に感動した」とその感想を丁寧にのべ、物質の法則が物理、肉体の法則が生理であるように「人間が集団で生きる時に自然に生まれる法則が倫理」であると説明し、宗教とは違って「信じなくて良い。まずは実践を」などと1時間にわたってわかりやすく説いた。
 半年前に会員になったばかりの小林パウロさん(56、二世)は「式典は普通お祭りでお終いだが、ここは学びの場でもある。勉強会に通い始めて挨拶を実践するようにしただけで、みるみる人付き合いが良くなった」と効果のほどをのべた。

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