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文協=初の文化フォーラム開催=職場で活かす日系文化

ニッケイ新聞 2010年6月18日付け

 ブラジル日本文化福祉協会・会員拡充委員会(上辻照子委員長)は、5月22日文協小講堂で「第1回文化フォーラム」を開催し、約100人が訪れた。文協創立55周年記念事業の一環。古川長・元サンパウロ州刑務所統括管理局長官など様々な分野の7人の専門家が職業や日系人としての働き方を紹介し、若い日系世代に向けてメッセージを発信した。高橋祐亮副領事、飯星ワルテル連邦下議、与儀昭雄県連会長らも出席した。
 7年間にわたりサンパウロ州刑務所を統括した古川氏には、メディアからの批判の矢面に立たされ、裁判沙汰に巻き込まれることや犯罪グループから命を狙われるといった困難もあった。そんな重大な業務をまっとうした古川氏は、「辛い時期もあったが、私の日本人の精神が途中で任務を投げ出すようなことはさせなかった」と力強い口調で語る。
 「どんなに大変な仕事であっても、途中であきらめてはいけない」と訴え、「日系人は管理職など責任のある仕事を避けている傾向があるようだが、思い切って飛び込んで欲しい」と若い世代を激励した。
 映画会社FOXブラジルの上辻パトリシア社長は『ブラジルの日本人、日本のブラジル人の価値』と題して、米企業で働く職場の体験を交えながら、日系人として外国人に与えるイメージや仕事でのその利点を説明した。
 カフェ・イグアスー元副社長の高橋ロドルフォさんは「仕事の無駄は、探し物の時間などにある」と指摘し、整理、整頓、清掃の方法をスライドで説明。仕事の効率化を図るコツを紹介した。
 サンパウロ市観光局に勤務する栗田クラウジオさんは、「日系コロニアほどフェスタなどイベントを開催しているコミュニティは他に類がない」と強調し、「今後も各地の日系イベントを支援し盛り上げていきたい」と力を込めた。
 そのほか、高野シロウ・USP工学部元教授、サンタンデール銀行ジャパンデスクの中川マルシアさん、建築家のラフィック・フラーさんが講演を行い、質疑応答も盛んに行われた。
 航空会社TAMでフライトアテンダントとして働く石原カリーナさん(28、三世)は、講演を聞き「自分達の持つ文化や価値観を活かして、自分らしく働くことが一番大切だと思った」と笑顔で話していた。
 同フォーラムの収益金は、やすらぎホームなど福祉団体へ寄付された。

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