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第7回海外日系文芸祭決まる=藤倉さんに新聞放送協会長賞

ニッケイ新聞 2010年9月3日付け

 第7回海外日系文芸祭代表選考会が7月28日に東京都内のホテルで開催され、俳句、短歌の受賞作品が決定した。今年の大賞作品は該当なし。ブラジルからも多数応募、入選があり、俳句部門で藤倉澄湖さんの作品が海外日系新聞放送協会会長賞に選ばれた。表彰式は10月22日、東京の憲政記念館で開催される第51回海外日系人大会全体会議で行なわれる。
 今年は日本を含む世界15カ国から短歌742首、俳句820句の応募があり、ブラジルからは一般の部に短歌123、俳句136、学生の部に短歌6、俳句12が寄せられた。
 その他南米からの応募は、アルゼンチンが短歌6、俳句5、パラグアイが短歌10、俳句34、ペルーから短歌1だった。
 ブラジル、南米各国からの入賞作品は次の通り。
《俳句部門・一般の部》
【海外日系新聞放送協会会長賞】
 夕焼に農機吸いこむ地平線                      サンパウロ市 藤倉澄湖
【国際俳句交流協会賞】
 アマゾンの河まで匂い山を焼く                    サンパウロ市 新井知里
【文芸祭賞】
 蕗のとう摘みたる丘に建つホテル                   サンパウロ市 前田昌弘
 短檠(たんけい)の淋しきゆらぎ夜業部屋               サンパウロ市 青木駿浪
《俳句一般・入選》
 雪降らぬ里にりんごの白い花                         神林義明
 雨季晴れ間原始林(もり)吠猿の声しきり                 下小薗昭仁
 亡き夫(つま)の汗の夏帽焼くことに                    木村都由子
 病む夫(つま)に桜茶飲ます移民妻                    島村千世子
 黙すれば風鈴にある父母のこゑ                       半澤典子
 母の日や母の知らざるこの大地                        若林敦子
 鍬(くわ)の柄(え)をすげて一服(いっぷく)日(ひ)短(みじ)か      吉野幸輔
 テニス靴洗って夏の香を落とす                        遠藤勝久
《俳句部門・学生の部》
【海外日系人協会理事長賞】
 こどもたちはだしでレモンうっている パラグアイ・ラパス日本語学校 野中あすか
《俳句学生・入選》
 秋の夜欲しくて買えない電子辞書 
                    ブラジリア日本語モデル校 アルアンダ・イラマル
 小麦まき弁当持ってお母さん       パラグアイ・ラパス日本語学校 大石咲
《短歌部門・一般の部》
【角川「短歌」編集部賞】
 三カ国の国籍を持つ三世代カーニバルの夜すきやき囲む     サンパウロ市 野口民恵
【短歌研究社賞】
 棄民とう言葉も知らずアマゾンの大密林に斧を振りいき      サンパウロ市 谷口範之
【文芸祭賞】
 日本の政治を応援すれば息子(こ)は「母さんここはブラジルですよ」
                                         サンパウロ市 内谷美保
《短歌一般・入選》
 お茶を飲む大きい方がお父さん夫婦湯呑の五十年かな         難波ふく江
 朝まだき鶏の鳴き声そこかしこ小枝に鳥の囀り始む          下小薗昭仁
 移民達幾多の難をのりこえて今ブラジルを我が国とする         比嘉洋子
 亡き妻と拓きし土地も街となり軒を連らねる三百二十戸         小堀幸男
 移り来て慣れ得ぬままの五十年むらさきイペーは咲きてこぼるる    上妻泰子
 母懐い異国の空港(みなと)彷徨うて鶴の翼に涙した日々         中西光造
 その中に超足長の孫駆ける我が家系にも八頭身が           百合由美子

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