ホーム | 日系社会ニュース | トメアスー=アマゾン移民史を映像に=岡村氏に依頼、上映会も=「画面に引き込まれた」

トメアスー=アマゾン移民史を映像に=岡村氏に依頼、上映会も=「画面に引き込まれた」

ニッケイ新聞 2010年10月29日付け

 【パラー州ベレン発】トメアスー文化農業振興協会(ACTA、乙幡アルベルト敬一会長)主催、トメアスー総合農業協同組合(CAMTA、坂口フランシスコ渡理事長)共催、トメアスー組合職員OB会後援の第1回岡村淳(じゅん)ライブ・イン・トメアスー映写会が、22~23日に開催された。約70人の参加者は、自らブラジル移民となって独りでドキュメンタリー作品を制作し続ける記録映像作家・岡村淳の世界を堪能した。

 昨年開催された「アマゾン日本人移民80周年記念祭」の折、岡村作品上映会が企画されたが同祭準備が煩雑を極めたため、立ち消えになった経緯がある。
 フルッタフルッタ社(代表取締役・長澤誠)を通じて、アグロフォレストリーカカオを採用した明治製菓株式会社とトメアスー組合が昨年110トンの契約を結び、入植当時から取り組んで来たカカオ栽培が森林農法によって80年後にようやく祖国への初出荷にこぎつけた。
 こうしたトメアスーの歴史や現状の記録映像化を岡村氏に依頼し、広く世界に周知徹底を図りたいと組合OB会は企画した。昨年立ち消えになった岡村作品の映写会をまず開催しようと、北島義弘氏が岡村氏と折衝し、快諾を得てトメアスー上映会を決めた。現地では角田(つのだ)修司(OB会員)・鈴木耕治(元組合理事)両氏が準備に携わり今回実施の運びとなった。
 岡村氏は21日朝、吉丸禎保(よしやす、OB会々員)の車でトメアスーに向けて出発。現地到着後はACTAを表敬訪問し、映写機器を点検するなど上映会の打ち合わせを行った。夜はACTA・CAMTAの役員15人列席のもと夕食歓迎会がカリン食堂で行われ、15回目のトメアスー訪問となった岡村氏と親交を深めた。
 22日午前中、CAMTAを表敬訪問、ジュース工場を視察した。午後はACTA会議室で35人の参加者を得て上映会。『赤い大地の仲間たちーフマニタス25年の歩み』(06年)、『ギアナ高地の伝言―橋本梧郎南米博物誌』(05年)を上映し、参加者を感激させて終了した。
 23日は小長野道則氏が自分のアグロフォレストリー農場やボランテイアで指導を続けているブラジル人の農場を案内した。平水重行氏のアサイ栽培農場の灌水施設を視察した後、最後の上映会場に向かった。
 ACTAから約40キロ離れた第2トメアスー移住地の杉田秀範氏の住宅が会場。梅沢保司夫妻、南部尚夫妻、杉田秀範氏に出迎えられ、昼食を取りながら上映時間まで梅沢夫妻の長男が管理している、イガラペー水浴場で休憩した。
 会場の杉田夫妻宅の大サロンには、南部尚夫人と杉田秀範夫人が夕食を準備していた。日没を待って18時に『ブラジルの土に生きて』(00年)、『ギアナ高地の伝言』を上映し23時に終了した、参加者35人は感激し余韻たっぷりに感想を語り合っている光景が印象的だった。
 上映後、懇談会に入り、深夜まで話は尽きなかった。ミナス・ジェライス州の山峡に暮らす明治生まれの日本人夫妻の晩年に寄り添った記録は、特に参加者に感動を与えた。また橋本梧郎さん(90代)の最後の念願テーブルマウンテン行きを描いた作品では、映像の中で転びそうになる橋本さんに観客が支える手をつい出してしまいそうになるほど引き込まれた。素晴らしい感激と感動を残し、25日に岡村氏はサンパウロ行きの機上の人となった。(下小薗昭仁パラー州通信員)

image_print