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今は日本就労に言葉が必須=厚労省=野口課長が会見で強調=「景気の甘い見通し禁物」=帰国支援金で2万人帰伯

ニッケイ新聞 2010年11月6日付け

 「いま日本で仕事をするには日本語能力が必須です」。国外就労者情報援護センター(二宮正人理事長)が5、6両日に開催する「デカセギ現象25周年国際シンポジウム」のために来伯した厚生労働省職業安定局の外国人雇用対策課長、野口尚氏は4日の記者会見でそう強調し、来年に向けて日本の景気先行きは楽観的ではではなく、「足踏み状態」であると報告。かつてのような日本語がしゃべれなくても仕事がある状態に戻ることは難しいだろうとの見通しを説明した。

 在日ブラジル人数最多を記録した08年の31万2582人を経て、金融危機以降に日系人の大量帰国が始まった。09年末時点で4万5126人減を記録し、26万7456人になっている。
 この帰伯者の44%が、今年5月まで実施された日系人帰国支援制度の利用者だ。全利用者2万1675人のうちブラジル人は92・5%(2万53人)を占める。帰国費用が支援された代わりに、出国日から数えて3年間は日本の土を踏むことができない。
 危機以降、派遣社員の大量解雇により、日系人重点支援地域(群馬、長野、岐阜、静岡、愛知、三重)の外国人雇用サービスへの来所者数は激増した。かつて月1700件程度だった相談は最高で2万6千件(昨年4月)を超え、昨年末以降は6千件と高止まり状態になっている。「これは何度相談にきても就職につながらない人が多いため」と説明し、再就職が決まらない最大の理由として日本語 能力不足を挙げた。
 以前は派遣会社を通した間接雇用が中心だったので通訳が介在したが、危機以降は日系人が直接にハローワーク(公共職業安定所)で職を探すようになった。「少なくともヒラガナで履歴書が書け、日本語で面接ができないと就職は難しい」。
 日系人が求める仕事が比較的給与の高いものが多く、「日本人との競合が起きている」とも分析。一部で製造業の仕事が戻ってきているのは事実だが「非常に短期間の契約で不安定」という。
 今年6月にハローワークに来たブラジル人に今後の見通しをアンケートしたところ、最多が「経済は良くなるが日本語ができないと仕事が見つからない」(42%)、「今の状況が続く」(24%)、「経済が良くなって日本語が分からなくても仕事が見つかるようになる」(17%)との結果になった。「甘い認識をしている人の割合(17%)が高い。日本語能力が必要」と繰り返した。
 厚労省では日系人向け雇用対策の強化として、昨年度から3年計画で「日系人就労準備研修」を実施している。3カ月の無料研修で、職場での日本語会話能力の向上、日本の労働法令や慣行の基礎知識などを指導する。昨年は約6200人の日系人が受講して2944人が修了し、うち35%(1038人)が就職した。今年10月までに受講者が2608人(うちブラジル人1543人)と低迷している。
 この研修の後は職業訓練所に行くしかないが、短期の日本語講座の語学力では日本人と競う場に入学するのは難しい現状になっており、「一部ではバイリンガルの補助教員を職業訓練所に付けるなどの取り組みをしている」とはいうものの再就職の道を遠ざけている。
 また国民健康保険や厚生年金などに加入していない外国人労働者に対する取り締まりが厳しくなっており、法務省もビザ更新時に加入の有無の事情を聞くようになっていると語った。

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