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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年12月10日付け

 百周年を越えて生まれた変化の一端を、援協の自閉症療育教室(PIPA)に感じた。日系団体は従来「日系による日系のための活動」が中心だった。コムニダーデ内部での必要(日本語での親睦、娯楽、医療福祉など)を満たすことが第一の存在意義だったから当然だ▼しかし、百周年の前後から日系団体の運営主体が二世に変わり、一般社会との距離感が縮まり、逆に日本との距離感が遠ざかっている。一世主体の時代に「支援」といえば日本からが大半だったが、現在は日系政治家などを通して市役所、州政府、連邦政府からの支援をもらう時代になった▼一般市民からの税金が投入されるならば、一般社会に対して何らかの利点がある活動でなければならない。つまり、日系団体であるからにはコムニダーデとの関係が軸になるにしても、「日系の特性を活かして一般社会に貢献する」方向に幅を広げる必要がでてくる▼例えば県連の日本祭は一般社会に向けて郷土食・郷土芸能をアピールする画期的なイベントだった。イタリア系、ドイツ系ら先輩移民でもやったことのない行事であり、しかもその売上げは各県人会の大事な財源となる▼自閉症への関心が低く薬物療法中心のブラジルでは、子供が薬漬けになる可能性がある。生活療法を進めるPIPAの存在は貴重だ▼医学は人種を問わない。アインシュタイン病院はユダヤ人のためだけではないし、オズワルド・クルス病院もドイツ移民のためだけではない。日本的な考え方をもってブラジル発展に貢献する日系団体。かといって一般社会向けだけの活動では寂しいものがある。そのバランスが難しいところだ。(深)

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