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40年以上続く餅つき=新潟県人会の伝統行事

ニッケイ新聞 2011年1月8日付け

 「私は侍のデセンデンチ(子孫)。今年は肩を痛めて手伝えないかと心配していたけど、搗き始めたら、すっかり直っちゃった」と自己紹介するのは、10年以上も新潟県人会(柿嶋昭三会長)の餅つきを手伝いに来ている大野昇二さん(83、新潟)=シダーデ・アデマル在住=だ。
 大野さんはパラナ州にいたときに覚えたバイオリンでサウーデ楽団でも活躍、南雲良治元会長は「バイオリン弾く手で餅も搗いてくれるんよ」と頼もしそうにポンポンと肩を叩く。
 先月30日午前取材に訪れると、西川忠雄元会長は「年末の餅つきは40年も前から続く県人会の伝統行事だ」と説明した。南雲元会長は「新潟っていったら米どころで餅しかないから」と謙遜する。「正月にいっぱい搗いて保存食として3月まで食べる」。
 同県人会では15年前から年末にサントス厚生ホームへ搗いたばかりの餅を届けている。「日本人だから。正月には餅を食いたいだろうってね」と南雲元会長。手打ちうどんも年に2回ほど作り、同ホームに持っていっているという。
 石田マリオ芳雄さん(よしお、79、新潟)は「今年は餅米が高いけど味は抜群」と言いながら蒸かしたものを機械で捏ねた。それを手伝う本間安衛さん(やすえ、75、二世)も「この時期になると県人会に注文の電話が凄い」と顔をほころばせる。前日と合計で180キロも搗いた。
 新年早々9日には母県から中堅農業青年の研修生一行が到着、2月第一日曜には総会が予定されている。

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