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トヨタ・ド・ブラジル新社長に中西氏=ソロカバ新工場12年に稼動=「小型車参入、大きな一歩」

ニッケイ新聞 2011年1月28日付け

 5年の任期を終えた長谷部省三氏に代わり、トヨタ・ド・ブラジルの新社長に中西俊一氏(54)が就任し、21日、その披露式がサンパウロ市内のホテルで開催された。日本本社から岡部聰専務が来伯し、式には約700人が招かれた。

 3年連続新車販売台数で世界1位の座に輝く同社だが、昨年のブラジルでの販売台数は8位に留まっている状態だ(エスタード紙)。
 現在、ブラジル内では、サンベルナルド・ド・カンポ工場で関連部品、インダイアトゥーバ工場で「カローラ」をそれぞれ生産している。
 約6億米ドルを投じるサンパウロ州ソロカバ市の新工場は、2012年に稼動開始予定で年間7万台を生産。ブラジルの新車販売の70パーセントを占める小型車市場に参入することとなる。
 今回就任した中西新社長は、勤務暦30年以上、アメリカ、カナダ、プエルトリコで駐在経験があり、前職はラテンアメリカ・カリブ海地域の総支配人という。
 披露式で中西新社長は、長谷部前社長への敬意を表し、これまで積み重ねたものをしっかりと引き継ぎ、「自分の力を尽くして努力していく」と力強く語った。
 25日付けのエスタード紙には、ソロカバ工場稼働にあたり、「コンパクトカーを作ることで、トヨタは大きな一歩を踏み出し、新しい成長のサイクルを生み出す」と語っている。
 ニッケイ新聞の取材に対しては、「お客様目線で、これまで通り、良い車を作っていく。そうすれば自ずと数字がついてくる」と述べた。
 あいさつで関係者への感謝の思いを強調した長谷部前社長は、「幾多の困難を乗り越えることができた」と5年の月日を振り返り、妻への支えに対して感謝の思いを述べ始めると、涙が目に浮かんだ。
 在任中、カローラのフレックス車の導入に取り組み、ブラジルのコスト高、レアル高に悩まされる中、2008年の金融危機での販売台数の停滞、リコール問題等々に直面しながらも、6万台から10万台まで伸びた。
 式後の歓談の席でひっきりなしに訪れる関係者らと別れを告げていた長谷部氏は、「僕は一人では何もできない。周りの人、そして妻のお陰で頑張る事ができた」と笑顔を見せて、傍らの由美子さんに肩を寄せた。

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