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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2011年2月1日付け

 「うちのお手伝いさんも死んだ、娘の生徒も死んだ」—。そう語るノヴァ・フリブルゴ文協の松岡利治副会長の悲しそうな眼差しが、水害の悲劇を直に物語っていた。
 泥にまみれた住居や商店の様子に唖然とする記者の横で「僕はこの街のきれいなところが好きだったんだ」と、松岡副会長は呟く。住民何百人が亡くなった災害で、日系家庭の被害がごく一部に済んだという事実は奇跡に近い。あちこちが破壊された街を目の当たりにして、そう実感した。
 昨年年始、同じくリオのグランデ島で起きた被害でも親戚を無くした家族を見舞った記者の頭の中には、なぜ繰返されるのか—伯字紙が何度も書き立てた文句が響く。
 グランデ島では、観光業への影響を懸念した住民がメディアの被災地取材を嫌がった事に冷淡さや怒りも感じたが、目を背けられない事実。来年こそは対策が練られる事を願うばかりだ。(裕)

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