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クォンタム社=「年100社進出の勢い」=70年代並みのラッシュも

ニッケイ新聞 2011年3月18日付け

 日本でブラジルビジネス情報センター(BRABIC)をJTB法人東京と共同で創立したクォンタム社(輿石こしいし信男社長)=東京都新宿区=が担当者の西原新子さんと共に先月末に来社し、「今年は100社くらい日本から上陸する勢いです」と語り、70年代初期を髣髴とさせる進出企業ラッシュが起きそうな雰囲気を伝えた。
 同社では昨年末からブラジル紹介セミナーを3回実施し、計100社が参加するなど今までにない手応えを感じている。「日本での関心が高まっています」とのべ、4月から会員企業向けサービスに期待を膨らませた。
 主に中小企業の進出を支援する同社のセミナーに参加したのは、製造業はもちろん広告代理店、調査会社、証券会社などかつてない多様な業界の代表企業で、「ブラジルへの注目が集まっていることをひしひしと感じた」という。
 2月18日から今月初めまで滞伯し、現地情報を収集するネットワークを広め、ミナス州やエスピリット・サント州の政府機関と日本からの進出企業受け入れに関する情報交換をした。「従来はサンパウロ州中心だったが、現在は多様化した。進出企業の選択肢を広げることも我々の仕事」とのべた。
 輿石社長は92年のエコサミット以来、ブラジルに関係し、翌93年に同社設立。90年代後半には当地の農業視察の際に、中国の使節団が農産物や地下資源の資源確保に血眼になっているのを目の当たりにし、05年前後には陸続と進出する欧米企業の姿をみてきた。「その様子が当時はまったく日本に伝わらなかった」と振り返る。
 日本国内の情勢は厳しく、かといって中国アジア、インドは進出済み、「残る〃世界の成長センター〃はブラジルと、ようやくみなが思い始めました」とするが、「欧米や韓国や中国企業に比べ、日本企業は出遅れている。今は最後のチャンスかもしれない」との状勢から「今年中に100社が上陸する勢いだ」との分析につながった。
 昨年の進出企業数は30社程度とみられ、進出ラッシュの最盛期だった70年代初頭の年100社に比べるとまだまだ少なかった。しかし、この「勢い」がほんとなら70年代のラッシュの再現となる可能性がある。
 「ただし、中国アジアに比べて視察費用だけで3〜4倍かかる。リスクも冷静に考えて欲しい」と釘を刺しつつも、4月から本格的に始める会員サービスを通して「できるだけ安全に進出するお手伝いをしたい」との抱負を語った。詳細は同サイト(www.brabic.com)まで。