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「日本の皆さん、頑張って!」=被災3県人会が特別法要=万感の思い込めエール送る=「原発問題の収束願う」

ニッケイ新聞 2011年3月19日付け

 「日本のみなさん、頑張ってください! 各々の立場でブラジルから応援させてもらいます」。ブラジル宮城県人会の中沢宏一会長はそう祭壇に声を張り上げ、頭を下げた。最も大きな被害を受けた地域の3県人会が主催した「2011年東北地方太平洋沖地震被害による物故者追悼初七日法要ならびに災害お見舞」の特別法要が、ブラジル仏教連合会の協力により17日午後6時から、サンパウロ市の宮城県人会館で執り行われ、約250人が詰めかけ、それぞれの思いを込めて焼香した。

 宮城県人会(中沢会長)、岩手県人会(千田曠曉会長)、福島県人会(小島友四郎会長)が主催した特別法要で、最初に追悼の辞を述べた千田会長は、「コロニアのみんなが支援しているから、みなさんも頑張ってくださいと県庁にお伝えしました」と報告し、「この災害に接し、なんと言って良いか分からない」と言葉を詰まらせ、来場者に謝意を表した。
 続いて中沢会長は「日本人は自然の恵みに感謝し、自然と共に生きてきました。あの美しい調和のとれた環境が自然のもの凄い力で破壊されました。多くの尊い命がなくなり、代々築いてきた町が消滅しました。悲しみと無念の気持ちで一杯です」と万感の想いを込めたメッセージを送った。
 さらに小島会長は原発問題にも触れ、「これは福島県だけでなく地球規模の問題なので、これ以上問題が大きくなる事なく収束にむかうことを願います」と手を合わせた。
 長い焼香の列ができ、ひとりひとりが万感の想いを込めて手を合わせた。法要の最初から数珠を持った手をずっと合わせたままの人、頻繁に涙を拭う人の姿もあちこちに見られ、千田会長は最後の方ずっと思い詰めた表情で中空を見つめ、涙を流しつづけていた。
 「日本は何度も国難に直面し、その度に復興してきた。今回もまた回復してくれるに違いありません」。法話のなかで、本門佛立宗のコレイア教伯師がそう語りかけると、涙をこぼす来場者の姿が見られた。
 来場者の田中晴則さん(はるのり、61、広島)=サンパウロ市=は、「これほどの無残な出来事にたいして何もできない自分に恥じています。ともかく日本のみなさんには頑張って欲しい、それだけです」と一言一言噛みしめるようにのべた。
 阿部陽子さん(64、佐賀)は「家でもお経を上げているが、特別法要で線香の一つもと思ってやってきました」、阿部正司さん(65、岩手)は「叔父が釜石にいて、今朝8時半にようやく無事が確認できた。ホッとしている」と胸をなで下ろす。
 法要が終わった後、3県人会長の前には「頑張ってください」と握手する人の列ができ、小島会長は「みんなこんなに心配してくれてほんとに有難い」と目をうるませていた。

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