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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月24日付け

 東日本大震災発生から、はや2週間が経つ。文協、援協、県連に加え、宮城、岩手、福島3県人会に集まった義捐金がわずか1週間で63万レアルに上った(本日付け7面詳細)。「ブラジルで何もできない。せめてもー」という多くの人の善意を感じる。そんななか被害の大きい岩手からメールが届いた▼酒を飲んでいる場合ではない、という状況ですー。で本紙金曜日に執筆してくれている地酒『南部美人』の蔵元、久慈浩介さんによれば、スーパーでは食料、日用品は品切れが続いているが、酒類は余り余っているとか。銀座のネオンも計画停電で暗いまま。「これでは経済的な二次災害が東北の蔵元、食品メーカーを襲う」▼そこで普段飲むビール、カイピリーニャの一杯を、ブラジルで手に入る東北の日本酒に替えてくれないか、という。「その一杯が東北の蔵を救います。私たちは絶対に負けません」。一番手軽な(?)支援の提案であり、切実な声でもある▼女性らでつくる『ブラジルを知る会』は5月1日に「がんばれ日本・ブックフェア」を開催、売り上げ全額を日本に送る。清水裕美代表は、「家に眠っている古本を譲ってほしい。買いに来てくれてもいい。それが支援に繋がります」と呼びかける▼ブラジル日本語センター傘下の学校では、生徒らが手紙や絵を被災地に送ろうと作成中だ。元々の題材はカーニバルだったが、子供たち自身の希望で変更されたという。それぞれの形、やり方がある。今の状況で自分にできることは何だろうか—そんなことを考えること自体が、鎮魂、復興への祈りとなる。(剛)

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