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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月29日付け

 日本は大震災と福島原発で大騒ぎしているが、それでも世界の国々は動く。既に死者は一万人を突破、行方不明者が1万7千超であり、あの明治三陸津波の犠牲者を超えるのは、まず間違いない。原発は次々に事故が起こり放射能は、米欧にまで広がり大きな問題になっている▲だが—目を海外に向けると、国の存在を賭けた戦いと経済的な行き詰まりから破綻の危に瀕している国もある。ギリシャとアイスランドが財政悪化で破産しそうになり、EUが緊急融資に踏み切り支援に乗り出したが、ポルトガルも危急存亡となり、破滅の瀬戸際に追い込まれている。これの救援にもEUが8兆円超を融資しそうだが、あのヨーロッパの国々も危うい▲中東に広がった民主化運動は、チュニジア、エジプトの「非暴力」が政権を倒し、独裁国家からの脱却に成功したが、リビアを始めイエメンやペルシャ湾のバーレーン、シリアとなると、政府側の軍隊や警察のデモへの武力攻撃が激しく、血で血を洗う壮絶な「戦争」になっている。サハラ砂漠に住むベドウィン(遊牧のアラブとも)のカダフィ大佐は、国連総会に出席しあらん限りの悪罵を叫んだときにも、NYの巨大都市に故郷の懐かしきテントを張って寝る「砂漠の狂人」なのだ。云うまでもなく—専制君主▲国民が「もっと自由を」と訴えるのは理の当然である。が、カダフィは傭兵部隊を差し向けての弾圧。見かねた米英仏伊が空爆を決定したが、さてこれで簡単に始末がつくのかどうか。しかし、市民の怒りは強く、「アラブの暴れん坊」も砂漠に帰るか退陣しかないだろうがー。(遯)

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