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涙、笑い、感動の3時間半=宮下和夫・響ファミリー慈善公演=サンパウロ市公演、2回とも満場に

ニッケイ新聞 2011年5月24日付け

 宮下和夫・響ファミリー・ブラジル公演『ふるさと、再び』のサンパウロ公演が22日、文協大講堂で行なわれ、午前10時、午後3時ともに会場が満員となる盛況ぶりを見せた。第1部は宮下さんによるピアノ演奏とともに、尺八、箏の演奏家、コロニア歌手との共演もあった。第2部では響ファミリーが大衆演劇の世界に会場を引き込んだ。温かい拍手や声援が送られ、〃地元〃での人気ぶりを伺わせた。同公演は、20日にレジストロ、23日にマリンガでも行なわれ、好評を博している。

 第1部「宮下和夫・音楽・夢の世界」では最初に、震災復興を祈って作曲された『ふるさと、再び』が演奏されるなか、被災地の悲惨な様子がスクリーンに映し出され、会場は厳粛なムードに包まれた。
 尺八奏者のシェン・リベイロ、箏演奏者の北原民江さんとの合奏による「春の海」「荒城の月」「愛と平和」に続き、春夏秋冬をテーマにした日本の童謡、唱歌の懐かしいメロディを口ずさむ来場者の姿も。
 ピアニスト、シルヴィア・マルテーゼさんと「花」「BREJEIRO」「GIGUE」を合奏、4本の手が交差する鍵盤上の日伯交流に拍手が送られた。
 09年の来伯公演後、白血病と診断された三世の保科タシオ君に宮下さんが克服を願って作曲した「白いフェニックス」が演奏された。現在も闘病生活を送るタシオ君も会場に姿を見せ、壇上で宮下さんと初対面、涙ながらに感謝の言葉を述べた。
 コロニア歌手の伴奏を務め、最後は総出演での「北国の春」で締めくくった。
 休憩をはさみ、響ファミリーが花魁道中で登場、華やかな姿に満員の会場からは多くのフラッシュが焚かれた。
 彬斗、一真兄弟による踊りに舞扇鞠菊さんが絡む息もつかせぬ舞踊ショーがにぎやかに会場を盛り上げた。
 彬斗さんは、「君おもう日々」「EUお前だけ」を熱唱しながら会場を歩き、ファンらの握手に応えていた。
 岩手県で津波に遭遇した恐怖の体験と人々の優しさに触れたエピソードを紹介しながら、「無事にブラジルで踊れることを喜びたい」と話し、拍手が送られた。
 太鼓、股旅物、剣舞など、様々な趣向を凝らした演目が次々と披露され、コロニアが育てた兄弟の晴れ舞台にやさしい声援が飛んでいた。
 文協芸能委員会の副委員長で、最初にチケットを購入した楠本留巳さんは、「響ファミリーはコロニア芸能祭で育ったようなもの。成長を見届けるためにきました」と声を弾ませていた。

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