ホーム | 日系社会ニュース | 援協=神内氏「最後の支援」か=新事業の実行委員会発足=過去に11億円もの援助=7月に事業案提示へ

援協=神内氏「最後の支援」か=新事業の実行委員会発足=過去に11億円もの援助=7月に事業案提示へ

ニッケイ新聞 2011年6月8日付け

 先月26日に行われたサンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)の5月定例役員会で、援協名誉会長で日本国際協力財団理事長の神内良一氏から、「最後の支援」として特別資金を寄付したいとの申し出があったことが報告された。これを受け、さっそく事業案の検討をする神内プロジェクト実行委員会を発足させ、7月中に神内氏に提示し、12月以降の実施を目指すことに決まった。

 菊地会長によると、神内氏から「南米に移住した人々の苦労は図り知れない。事業拡大や老朽化した施設の再建など、恵まれない人々の救援のために、ぜひ役立てて欲しい」という手紙が届いたという。
 これを受け、神内プロジェクト実行委員会発足が決まった。資金の使途案、事業案は7月中に神内氏に提示する必要があり、10月に策定、12月以降の実行を目指す。
 実行委員会は菊地会長、毛利連(むらじ)第一副会長、山下忠男第三副会長、具志堅茂信事務局長、日伯友好病院の天内ヴァルテル院長、秋山幸男氏、足立操事務局長補佐で構成される。
 援協はこれまで神内氏から約11億円もの援助を受けている。90年の日伯友好病院の4、5階病棟の整備には7550万円、同じく90年のサントス厚生ホームの新築や備品購入等に3500万円が寄付された。
 また91年には、病院の入院患者で経済的に困窮している人を援助するために2億円が寄付され、「神内医療福祉基金」が設立されている。
 91年にはカンポス・サナトリオ(現さくらホーム)の新病棟建設費に1500万円、94年から着工された日伯友好病院の最初の改修工事に5億3千万円、00年にはあけぼのホームの入居者への援助のため5千万円が寄付され、「神内あけぼの基金」が設立されている。
 また02年に着工された2回目の病院の改修工事には1億5千万円が寄付された。他にも09年に完成した援協社会福祉センターの建設資金の援助も受けている。
 一方、同役員会で話し合われた別案件として、援協が公益社会福祉法人として認可され各種税の免除を維持するため、SUS(統一医療保険システム)の患者を専用に受け付ける病院を経営する案を、毛利第一副会長が説明した。
 毛利副会長によると、病院設立の地として最も有力なのがサンパウロ州サンミゲル・アルカンジョ市。同市長から要望があり、またピニャール移住地の日系人も同意の声を上げているという。今後本格的に交渉が進められる。
 また、奄美事業所で児童教育用の部屋等の増築が検討されており、384平方米の土地を28万レで購入するための交渉を進めることに関しても承認が下りた。
 またサントス厚生ホームも、改修工事を行なうための交渉を進めることに関して承認された。工事費には神内氏からの寄付金20万7千レを充て、10万レは援協の予算から出される。その他、先月ブラジル・パナソニック社からテレビと冷蔵庫の寄贈があったことなどが報告された。

image_print