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JICA日系社会ボランティア=サンパウロ市で30人が離任式=「帰国後も日伯の架け橋に」

ニッケイ新聞 2011年7月5日付け

 国際協力機構(JICA)の日系社会ボランティアの離任式典が6月27日午後2時から、サンパウロ市のニッケイパラセ・ホテルで行なわれた。当日は2年にわたって活動した09年度派遣のシニアボランティア13人、25回生の青年ボランティア17人が一堂に会した。

 式典は日伯両国歌の斉唱で幕開けし、離任者たちが一人ひとり、「お世話になりました」の言葉とともに自己紹介した。「とても楽しい経験でした」「美味しい果物をたくさん食べました」など、思い思いの感想が述べられた。芳賀克彦JICA事務所所長が挨拶した後、来賓がそれぞれ、離任者たちの2年間の活動に対する感謝と、はなむけの言葉を贈った。
 離任者を代表してロンドニア州ロライマで日本語教師として活動した中西琴子さん、サンパウロ州ピラール・ド・スールのサンパウロ柿生産者協会で果樹栽培に従事した浦田昌寛さんの2人が、それぞれ活動報告を行なった。
 中西さんは、現地の日伯協会が近年設立したばかりのロライマ日本語学校で、「日本語、日本文化の普及」という漠然とした学校の活動方針の具現化に取り組んだ。
 教師や学生の募集から始まり、教師の養成、イベントの企画・開催など、学校を盛り上げるために献身的に活動する一方、週末にはベネズエラ人、キューバ人などと野球をするなど、ロライマでの生活を楽しんでいた様子が伺えた。
 浦田さんは63歳で熊本県出身。通常は任期2年のところを、受け入れ先の強い要請で例外的に6年活動した功労者だ。「高度な日本の技術を身につけてもらった」と述べ、その長期にわたった活動の成果を発表した。
 「37年培った技術を、世界、特に南米の人に伝えたい」との思いで赴任した浦田さん。温室ぶどう、富有柿、ピラール・マスカット、デコポン、アテモイア、桃、銀杏の実など様々な果物の栽培、新種の開発に従事した。
 また、要請のあった州内外の各産地へ出向き、現地で生産・剪定を指導、生産者の早期の技術修得に努めた。また、技術者同士の交流会、農村文化を伝えるための収穫祈願祭なども企画・開催したという。
 浦田さんは最後に、「私自身もとても勉強になった。それを今後どのように生かすかです」と笑顔で述べ、発表を締めくくった。
 離任者30人は29日に日本へ向けて出発した。現在は38人のボランティアが活動中で、新任者が31人、7月5日から着任する。

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