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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年7月21日付け

 ブラジルで一般に「日本食」といえば、知名度、人気度から見ても「寿司」であることに異論はないだろう。しかしサンパウロの業界は青色吐息。先月、「寿し安パウリスタ」が22年目に暖簾を下ろしたし、伝統的な日本料理をウリにしている店は、戦略に苦慮しているようだ▼決して寿司人気が落ちているわけではない。手巻き寿司に特化した「テマケリア」は雨後のたけのこだし、デリバリー(宅配)寿司の数も多い。最近の新聞広告で、ある寿司チェーン店が「カレー」を始めたのを興味深くみた。寿司、カレーを食べる客層が一線上にあることを意味するし、様式などにこだわる高級なものより、手軽なファーストフードの日本食が一般化している▼先般の日本祭り。いわゆる〃庶民食〃が増えている。人気なのは、お好み焼き、牛丼、たこ焼きなど。一方、すでに市民権を得たヤキソバを提供する店が減っているのは興味深い。新たな食文化を提供し、広めるのが日本祭りの正しい姿勢だ▼牛丼といえば、「すき家」が今月末にサンパウロ市内に3号店を開店する。日本式に丼で勝負するのは、「正しい正べ方を伝えたい」からだとか。昨年3月に1号店がオープンしたことを考えれば破竹の勢い。100店舗を目指すそうで他国でのチェーン店の成功を考えれば、期待できそうだ▼もとい。寿司の高いイメージは一般市民によって覆えされている。日本でも寿司は元々、立ち食いのファーストフードであったわけで、人口への膾炙の仕方が同様であることは妙に感心してしまう。歌舞伎、アニメ。能、コスプレ。食文化でも二元化は進む。(剛)

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