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ラ米日本研究学会を初開催=「知見広げ、学生の刺激に」=教育、宗教などテーマに

ニッケイ新聞 2011年9月29日付け

 ブラジル日本研究学会(田代エリザ会長)、USP日本文化研究所(森幸一所長)、リオ・ブランコ大学が主催した第1回ラ米日本研究学会が27日にサンパウロ市のラ米記念館で開会し、29日まで行われている。ブラジル、日本はもとよりコロンビア、メキシコ、亜国などから集まった研究者約40人が報告をし、新知見を学生らに伝え、研究者同士の情報網を広めた。当日はUNESPアシス校の学生がバスで駆けつけた他、90人ほどが会場に集まった。
 開会式で森幸一所長(USP教授)は、「この学会は大変難しい目標をたて、それに向かって懸命に努力している。ここでの関係を基礎に有意義な学術ネットワークが生まれると期待しています」とのべた。
 サンドラ・マルガリダ・ニトリニUSP哲学文学部学部長も、「この取り組みにより、学究の地平線に新しい対話と道が広がる」との祝辞を送った。アドルフォ・ネルフ=ラ米研究所所長に続き、リオ・ブランコ大学の運営をするエドゥアルド・ピメンテウサンパウロ州ロータリークラブ会長は「世界は将来、一つの国家、世界市民へ収斂する。移民の問題はそこに向かう世界市民の研究であり、政治・経済が危機にある今こそ、このような研究に力をいれるべき」と意義を強調した。
 田代会長はニッケイ新聞の取材に対し、「ラ米の日本研究者が一堂に集まる機会を作り、そのネットワークから若手研究者の議論を広げ、学生への刺激となれば」と初開催の目的を説明した。国内の日本研究者は学生を入れて約200人おり、社会学や歴史学、言語学など様々な視点から研究が進んでいる。
 27日は日系子弟へのバイリンガル教育、翻訳者の役割、28日は日本宗教のラ米展開、国際関係が研究に及ぼす影響、29日は技術革新と日本研究、複雑な日本性などをテーマに報告・討論が行われる。

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