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日本経産省=ブラジルで地域産品販売拡大へ=「クール・ジャパン」始動=JTBが中小企業の支援=5〜10年で普及図る

ニッケイ新聞 2011年10月7日付け

 日本の魅力ある地域産品(食器、インテリア雑貨など)の販路拡大を通して、海外に「日本らしさ」を普及すると同時に、日本の地域中小企業のブラジルでのビジネス展開を支援する計画が9月末から動き出し、さっそく一行がサンパウロ市に視察に訪れた。早ければ来年2月には展示会を開く予定もあり、中期計画で販売拡大を図る。これは日本国経済産業省が最優先案件として進める事業の一つ「クール・ジャパン」で、ブラジル市場を対象とした事業計画を受注したのがJTB法人東京を中心とする企業グループだ。金融危機を越えリオ五輪まで成長が続くとみられる当地へ、日本からの熱い視線が注がれている。

 100社以上が応募し、経産省が承認したのは中国、仏、米、韓国など世界8カ国の13プロジェクトのみ。今後の成長が期待され、日本との関係を深めるに値すると注目された国の中に、当地も選ばれた。
 ただし、今回市場調査と打ち合わせのために来伯した同社の営業開発局チーフマネージャーの石川智康さんは、「ブラジルの市場実態はほぼ未知の状態で、特に生活に密着したデータは日本では皆無」と現状を説明する。「だからこそ、大企業と違って進出の手立てを持たない中小企業を支援したいと思った」。
 普及を目指す商品は、日本らしさを感じさせる伝統工芸を含めた食器やインテリア雑貨などの地域産品。まずは当地のホテルやレストラン等で商品の展示会を開催し、専門家や関係者の反応をみて、商品の選定を進め、今後の本格的な展開手法を練っていくという。
 展示品選定などを担当する藤村京子事務所の藤村京子さんは、当地での方針について「安くていい物を日本から持ってきても、関税で価格は3倍になる」と価格面の困難さを予想する。そのため富裕層を対象とした商品選定になる可能性を示唆した。
 石川さんは、「来年は展示会を開催して反応を調べ、いずれはアンテナショップ、イベントへの出展の支援もできる体制を強化していきたい」と話し、「本格的な取引になるのは3年目以降。困難は承知の上で5年、10年という期間で考えながら販路拡大をする覚悟です」との見通しを語った。

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