ニッケイ新聞 2011年10月11日付け
2012年の市長、市議選出馬予定者の入党や党籍変更の最終期限である7日、エンリッケ・メイレーレス前中銀総裁が9月27日に認可された社会民主党(PSD)に移籍。来年の選挙を前に関係者の間では様々な思惑が飛び交っていると8日付伯字紙などが報じた。
選挙裁判所が28番目の政党として認可したPSDは、発足当初から国会議員や知事らの移籍が続き、来年の選挙でも台風の目となる可能性大。メイレーレス氏の党籍変更は、来年のサンパウロ市長選の行方にも影響を及ぼす可能性が出てきた。
3月の発足宣言後、新党登録に必要な支持者の署名集めと高等選挙裁判所による承認までわずか半年というPSDは、2年以上かけて署名集めをした政党もある事を考えれば異例の存在。既存政党に不満を抱く人々を吸収する形で、上議2人、下議52人などが移籍表明済みで、7日にも市長や市議達の移籍が集中的に起きたという。
12年10月に投票が行われる市長、市議選への出馬予定者の入党や移籍といった動きが最終期限の7日まで続いた証拠だが、移籍組の中で最も注目されたのが民主運動党(PMDB)からPSDに移ったメイレーレス氏だ。
メイレーレス氏は、民主社会党(PSDB)から下議当選後、ルーラ前大統領に乞われ、2003年に中銀総裁に就任。ジウマ大統領の副大統領候補に名前が挙がってPMDBに移籍したが、ミシェル・テメル氏の副大統領就任で閣外に去っただけに、サンパウロ市長選か2014年のサンパウロ州知事選、あるいは大統領選も視野に入れたとされるPSDへの移籍は、政界や財界の注目を集めている。
サンパウロ市長選出馬の可能性があるのは、フェルナンド・ハダジ教育相やマルタ・スプリシー上議(労働者党=PT)、ブルーノ・コーバスサンパウロ州環境局長やリカルド・トリポリ下議、ジョゼ・アニーバウサンパウロ州鉱山エネルギー局長(PSDB)、ガブリエル・シャリッタ下議(PMDB)など。
PSDで発足宣言当時から名前が挙がっていたのはギリェルメ・アフィフ・ドミンゴスサンパウロ州副知事。アフィフ氏のPSDB離脱でこじれたかに見えたPSDBとの関係は、カサビ氏が14年知事選でのアウキミン氏支援を約束するなど、双方の歩み寄りで改善してきたが、アフィフ氏は市長選出場を渋っているともいわれる中、発表されたのがメイレーレス氏の移籍発表だった。誰をどう配置すれば選挙戦が有利になるかと状況分析を続けるカサビ氏には、駒が増えた事になる。
PSDBのアエシオ・ネーヴェス上議は14年の大統領選出馬の準備ありと発言、チリリッカ下議の息子でピエロのチルリッパはセアラ州フォルタレーザで社会党(PSB)入党など、12年や14年の選挙を睨んだ動きが活発化し始めた。