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ニッケイ新聞 2011年10月21日付け

 サンパウロの街角を歩いていて、もしくは取材に行った地方などで稽古の帰りだろうか、柔道着を持った非日系の子供を見かけるたび、道場で教えているのは日本人なのかなあ、と想像する。コロニアから時代を経てブラジル社会へー。その発信源の日本移民を思う▼マリリア在住の小針一さんが85歳で亡くなった(本日付け7面)。10歳で来伯。開拓生活後、柔道を始め、汎パウリスタ線の中心的指導者として普及に努めた。マリリア名誉市民。8段。「小針一師範親睦大会」は13回を数え、今年は約500人が参加したという▼会場でご本人は、その発展を喜びながらも「自分のごときものの為に迷惑かけてすまん」と謙虚に頭を下げていたとか。「柔道を通じてよりよき社会人を」を理念に、道場での姿は古武士のようだったという。葬儀では100人を超える多くの弟子がその死を惜しんだ▼恥ずかしながら、コラム子は故人を知らない。訃報に接したのは、関係者の連絡による。この頃とみに訃報記事をまとめることが多くなった。わずかな情報を盛り込むだけで、行間に滲み、溢れてくる人生に思いを馳せる時間も想像力もなく、締め切りに追われる日々がやるせない▼表現は悪いかも知れないが、〃氷山の一角〃だろう。ブラジル、コロニアに貢献したどれほどの日本人、日系人が、広く知られず鬼籍に入っていることか。気概をもってブラジルの発展に尽くしてきた片鱗でも残すのが邦字紙の本分でもあり、報道はもとより、記録を残す役目がますます大きくなってきたことを強く感じる。(剛)

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