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シンポ『人文研を考える』=「伯社会との繋がり大事」=渡部和夫氏らが意見述べる

ニッケイ新聞 2011年11月8日付け

 サンパウロ人文科学研究所(本山省三理事長)が、同所の将来のあり方について外部識者の意見を聴くという趣旨で行なうシンポジウム『人文研を考える』が27日午後6時半から、文協ビルの会議室で開催された。約50人が集まり、関心の高さが伺えた。
 パネリストは元聖州高裁判事で元USP法学部教授の渡部和夫、元州財務長官、ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)経済学部長の中野慶昭、USP薬学部教授で日系研究者協会専務理事の佐藤直の3氏。
 まず渡部氏は「コロニアが保つ社会的、文化的特徴は、ブラジル社会に豊かさや多様性を加えるために必要なもの」とした上で、「人文研の研究内容は伯社会にとっても貴重。OSCIP(免税口座団体)の認可を受けるなどして、日系企業だけでなく伯国の大学や企業等から援助を受けるに値する」とのべた。
 佐藤氏は「目的と対象をはっきりさせるべき」と指摘し「ボランティアや寄付だけで存続させるのは不可能。プロジェクトを立ち上げるなどして他の収入源を探すことが重要」と強調した。
 意見発表の後、鈴木正威所長は、人文研が今後ブラジル社会と融合していく必要があること、研究者の養成が十分でなく未だ人材不足であるという課題について、各氏に意見を求めた。
 渡部氏は「統合のためには考え方を変えるべき。研究結果をこれまでのようにコロニアだけに発表するのではなく、どのように伯国社会に示すのかが課題」と意見を述べた。
 また、今後人文研が研究し得るテーマとして、「バストスやチエテ、アリアンサなど移住地の農業改革の変遷」を挙げ、「ブラジルでの農業を考える上で興味深いのでは」と話した。
 中野氏は「研究者不足については問題ない」との認識を示し、米国の著名な研究機関では一人も研究者がおらず、理事が研究者同士のネットワークを作り、結び付けることで研究を行い、援助を申請していることを例に挙げた。
 鈴木所長は今後の展望として「来年3月に役員改選を行ない、実行力のある日ポ両語に堪能な若手の人材を起用し、新たな理念設定や事業の見直しなどを図れる体制を整えたい」と話していた。

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