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ブラジル外務省=『Texts of Brazil』日本語版=カポエイラ編をHPで公開

ニッケイ新聞 2012年3月22日付け

 ブラジル外務省が国外への文化紹介を目的に刊行するシリーズ『Texts of Brazil』のカポエイラ編を日本語翻訳した翻訳家の前田和子さん(東京在住)が14日に来社した。
 カポエイラをめぐる歴史、社会、文化などの側面に焦点を当てた大学の研究者や学者、カポエイラ武術家などによる小論文が16本集められており、写真や有名画家による挿絵、資料などが全編オールカラーで豊富に掲載されている。
 書籍は非売品として日本の関係機関に配布されているが、駐日ブラジル大使館のHP(www.brasemb.or.jp/culture/sports_03.php)で全文が公開されている。
 「奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人達がやり始め、最初は悪ふざけの遊びのようなものだった。サルバドールやレシフェのほか、リオでも盛んだったよう」と前田さん。
 リオでは第二帝政時代(1840〜99)に、黒人達にとどまらず白人の上流層やエリート、政治家にも愛好者がいたが、一種の〃ヤクザ〃のようなカポエイラ軍団が数多く形成されたので取締りは厳しかった。
 その後の共和国宣言後、カポエイラは犯罪に指定され、無差別の流刑でリオのカポエイラは完全に消滅。北東部のカポエイラも弾圧を受けたが、地域の人々の交流手段として生き残ったという受難時代にも触れる。
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 前田さんは慶応大学英米文科を卒業後、上智大学大学院(修士)でポ語を学んだ。その後サンパウロ・カトリック大学大学院で言語学博士号を取得し、現在は埼玉学園大学で講師も務めている。

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