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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年3月29日付け

 農林水産省が世界にある日本料理店を認証しようとした制度、いわゆる「すしポリス」が各方面から批難を浴びたことを受け、食品業界が日本食レストラン海外普及振興機構(JRO)を設立、推奨マークを与える計画を発表したのが08年。少なくともブラジルでは寡聞にしてその活動を知らない▼そうした大上段に立った形式ではなく、自然な形で本場の味を普及させようという動きが最近目立ってきているのは興味深いことだし、歓迎したい。もちろんブラジルを有望なマーケットと見込んでのことだ▼さきほど米の卸売り大手の「神明」が視察のため来伯した。中国、米国に続く市場に選んだ。訪日した二、三世から日本の米の美味さを賛嘆する声を聞くたび、有名とされる店で米の粗末なことに驚くたび—炊き方や水の問題もあろうが—本格的な進出を期待したい▼キッコーマンがブラジルの食材販売業者や料理人を日本に招くことで、さらなる和食の普及を目指す事業を行なった。食業界で発言力のある人材に〃本物〃を知ってもらうのは大きな意義がある。近々開かれるという記者会見では、広めた知見をどうブラジルで広めていくのかについても関心を寄せたい▼牛丼チェーン店「すき家」の展開ぶり、回転寿司の機械販売、日本の食メーカーと共同出資して開店する例などを見るにつけ、ブラジルの日本食業界に日本からの大きなゆり返しの波が来ているように感じる。シュラスカリアの数を超えたという日本食だが、まだまだ進化を続けていくだろう。さらにブラジル化していくなかで、本場がどれほど影響を与えうるのかも注目したいところだ。(剛)

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