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日本語センター=板垣勝秀氏が新理事長に=谷広海氏は5期で会長退任=「無償で働く喜び知った」

ニッケイ新聞 2012年3月30日付け

 ブラジル日本語センターの「第24回通常総会」が24日午後、同センターで開かれた。単一シャッパが承認され、2002年から5期10年理事長を務めた谷広海氏(72、宮崎)が退任、新理事長に板垣勝秀氏(64、北海道)の就任が決まり、新体制が発足した。サンパウロ市内で医療機器の輸入・販売の会社を経営し、ブラジル盛和塾の代表世話人も務める板垣氏は挨拶で「一つの試練として引き受けた。先生方一人ひとりが主役。一緒に人作りをやりたい」と抱負をのべた。

 退任にあたり谷氏は「日本人であることに誇りを持て、無償で働くことの喜びを知ることができた」と感謝の意を示した。
 「自分よりも誠実でセンターに相応しい人にバトンタッチできることが感慨深い」と板垣氏に期待を寄せ「今後も機会あるごとに手伝い、ここで得た友情を大切にしながらセンターを見守っていきたい」とのべた。
 総会には北パラナ、ブラジリア、グァタパラ、スザノ、サントスなどからも会員が集まり、61人が出席した。
 昨年度の総収支は208万7869レで、今年度の予算案は215万918レ。田中栄一会計理事は、昨年度は前年に比べ会費が約2万レ減少したことに触れ、今後はJICA、国際交流基金、参加費の3つの収入源を養成や研修に当て「今後は(会費減少分を)事業費で賄えるようにしたい」と目標を話した。
 また15年理事を務めた日下野良武氏も今年度を持って退任した。「今後はジャーナリストとしてセンターの先生やボランティアの方の頑張りを紹介していきたい。センターのさらなる発展を祈る」と挨拶した。
 総会後は谷氏、日下野氏、同じく長年理事を務めた青木敏枝さんにも花束が手渡され、写真撮影のあと懇親会に移った。
 本紙の取材に対し谷氏は「10年もいると、本人が気づかなくても団体がマンネリ化する。新しい人を入れなくてはならないと思った」と退任の理由をのべ、今後の課題としてブラジル人向けの日本語教材の開発、地方の文協同士の連携作りなどを挙げた。
 谷氏の在任中の10年間は、センターの改修を始め、各国持ち回りで行われてきた汎米日本語教師合同研修会のセンター毎年開催、JICA本邦研修の一部を継続させるなど教師の研修を充実させるとともに、中南米国間の繋がりを作ったことでブラジルが汎米日本語教育の中心となる土台が築かれた。
 また、日本で就労する人向けに短期間で日本語、日本文化を習得させる「速成塾」プロジェクトや「日本語まつり」も始まるなど事業の幅も広がった。
 丹羽義和事務局長は「大きく転換した。今後、谷さんのおかげで上がった知名度に適したセンターにしていく必要がある」と話した。
 新役員は次の通り(任期2年、敬称略)。会長=板垣勝秀、副理事長=諸川有朋(総務)、高橋正剛(財務)、志村マルガレッテ(教育)、立花アルマンド(同)、書記=杉浦マルコス、会計=田中栄一。

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