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日本の米をブラジルへ=米卸業者「神明」が調査で来伯=サンパウロ市に販売店設置も検討

ニッケイ新聞 2012年3月30日付け

 「日本のおいしいお米をブラジルへ」—。米の卸売りでは日本一の実績をもつ株式会社「神明」(兵庫県神戸市)がブラジル進出を見据えた調査を行うため、同社の藤尾益造・常務取締役(41、兵庫)、同社の米国支社「SHINMEI U.S.A. CORPORATION」の塩川明男副社長(63、長野)が来伯した。
 昨年11月、米国カリフォルニア州に進出し、同州サクラメント郡の米農家と直接契約した。「あきたこまち」「コシヒカリ」などの日本米のほかブレンド米、タイ米などを生産、オーストラリアや東南アジア、日本、一部ブラジルにも輸出する。販売拠点として、中国、米国に続きブラジルへの進出を狙う。
 同社はすでに、ヤマト商事(高木和博代表)を通じて2・5トンの日本米をブラジルに輸入したことがある。「水が違ってもおいしく炊ける」と上々の評判を得たものの、東日本大震災の影響で停止している状態だ。
 藤尾氏によれば、現在日本米は世界20カ国に年間2千トン輸出されており、同社はそのうち1200トンを取り扱う。
 かつて日本では減反(米の生産量調整)が行われ海外への輸出も高額のため進んでいなかったものの、政府の方針が変わり、「現在は輸出米の生産が奨励されるようになった」。
 輸出価格も国際規格に合うように調整されているといい、「新規需要米として輸出がここ3年で進んでいる」と傾向を語る。
 各国でリサーチを行った藤尾氏は「みんな日本のお米を食べたいと思っているようだが、日本米は輸入できないと思っている人が多い」との印象を語り「日本人がどこにいても日本米を買えるような環境を整えたい」と意気込む。
 塩川氏も、「サンパウロはロサンゼルスと環境が似ていると思う。日系人のいるところはチャンスがあり、スタートしやすい」と期待を込めた。
 滞在中は貿易商社やスーパー、サンパウロ市やリオの日本食店を視察した一行。「どういう環境にあるかを調べ、ビジネスチャンスがあるかどうかを見たい。理想的にはサンパウロに3、4店舗構え、そこで販売できれば十分。本物の日本食に飢えているところを狙いたい」と展望を語った。