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移民、日系史を次世代に=ポ語版百年史2冊目刊行=『戦前編』出版会23日に

ニッケイ新聞 2012年4月18日付け

 百年史ポ語版の2冊目、戦前編『Sob o Signo do Sol Levante(邦題=日出の象徴の下で)』(1千部)の出版記念会が23日午後7時から、サンパウロ市の日本移民史料館9階(Rua Sao Joaquim,381)である。百周年記念協会と日伯文化社会統合協会のポ語版編纂委員会の刊行。09年の百周年シンポの内容をまとめて昨年刊行された1冊目『Centenario-Contribuicao da Imigracao Japonesa para o Brasil Moderno e Multicultural(邦題=百年史-近代多文化国家ブラジルへの日本人移民の貢献)』に続編。3冊目は来年、『戦中戦後編』として刊行を予定。移民・日系史のポ語版が少ないとされてきたが、研究者も含め後世に資すものとなりそうだ。

 サンパウロ総合大学で科学史の教鞭をとる本山省三教授が2年がかりで書き上げた。〃移民の祖〃水野龍を親戚に持ち、日本語書籍を読みこなす本山教授だけに、坂本龍馬や西郷隆盛の写真を掲載するなど、日伯の歴史書を縦横に引用して世界史の幅広い視点から日本移民史を解きおこしている。付録として自身が理事長を務めるサンパウロ人文研『移民史年表』ポ語訳も収録された。
 編纂委員の大原毅さんは「全伯の主要な図書館にも寄贈されるので、大学の研究にも使える。世界史の大きな流れから解説しており、読んでいて楽しい。文章構成も良く、読み出したら止まらない」と同著の魅力を語る。来社した吉岡黎明さんも「子や孫に贈れば移民史に興味を持ってもらえるのでは」と薦める。
 同統合協会会長の西尾義弘ロベルトさんも、「私自身2回校正して読み込んだ。日系社会の中にある謎を提示して、それにこたえていく構成には本当に引き込まれる。今までの歴史書とは一味違う」と語った。
 購入希望、問い合わせはマルタ・スナコザワさん(11・3209・3875)まで。

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