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2500人を迫力舞台で魅了=『謝縁海渡—夢の競演』=沖縄芸能文化を堂々披露=大嶺さん「何とも言えない感動」

ニッケイ新聞 2012年6月15日付け

 今年でそれぞれ設立15周年、10周年を迎えた玉城流小太郎会大峰初枝琉舞道場、レキオス芸能同好会の創立記念祭典「謝縁海渡—夢の共演」(Shaen Kaito?Elos de Gratidao、上原テーリオ実行委員長)が10日午後、サンパウロ市のアニェンビー・コンベンションセンターで盛大に行われた。歌、踊り、太鼓のステージを織り交ぜた演目で、伝統と現代音楽が融合した豊かな沖縄の芸能・文化が約3時間半にわたって披露され、訪れた2500人の観客を存分に魅了した。サンパウロ州文化局、市観光局、沖縄県人会など38団体が後援し、本場沖縄から約20人が駆けつけ約300人が出演する大舞台となった。

 「今後も15周年、20周年に向けて勉強していきたい。ご支援とご指導を—」。フィナーレで感動のあまり言葉を詰まらせながら、両団体を主宰する大峰初枝さん(63、うるま市)はそう決意を新たにし、総立ちとなった会場からは惜しみない拍手が送られた。
 「何とも言えない感動。皆さんの温かい支援のおかげで、節目の年を迎えられた」と感無量の様子で来場者に謝意をあらわし、感動の渦の中で公演は幕を閉じた。
 大峰さんは12歳で家族とともに移住した。琉舞道場に入門し、95年に沖縄に渡って本場の踊りを学び、2年後に自分の道場を開設した。
 2001年にレキオス創作芸団の太鼓に魅せられ沖縄で特訓を受け、翌年「レキオス芸能同好会」の創設主宰者になった。以降2団体の責任者として、ブラジルでの沖縄の芸術・文化の普及にまい進する日々だ。
 勇壮な太鼓で人気の高いレキオス。芸能同好会はサンパウロ市に本部、州内に4支部あり、日系、非日系問わず多くの若者が練習に取り組む。昨年の世界ウチナーンチュ大会主催の「世界エイサー大会」では3位に輝くほどの実力だ。
 予定より1時間遅れで始まった第一部は「かぎやで風節」で幕開け。美しい照明の下、三線と琴の奏者がずらりと並び鮮やかな衣装の踊り手が舞台に現れ、観客の目が一気に集中した。「創作芸団レキオス」(照屋忠敏主宰)と同好会が披露した「大蛇・獅子の共演」では、ダイナミックでユーモラスでもある巧みな動きに会場から笑いが起こった。
 その後、戦後に生まれたロックと筝曲を組み合わせたエイサーの舞「瀧落し」、沖縄現代民謡の「華ぬ美島」、沖縄の肝心や自然を歌い上げた「島」、エイサーメドレーなど16演目が次々に披露され、多彩な舞台に、終わるたびに大きな拍手が送られた。
 休憩を挟んだ第二部では沖縄出身の歌手で、迫力ある歌声の城間健市さん、亀井日出克さんが登場。ハードロック調の楽曲が、切れのある力強いレキオスのエイサー振り付けで彩られ、一転して現代的な音楽が会場を楽しませた。
 続いて琉球國祭り太鼓のブラジル支部が登場して「五穀豊穣」を舞うと、会場は待ちかねたように一段と大きな拍手を送り、観客席にも踊り子が降り立って、会場は最高潮の熱気に包まれた。
 公演終了後、来場者は「よかったね」と口々に言いながら会場を後にした。プレジデンテ・プルデンテ在住の飯島美佐子さん(75、二世)は、「こんなにすばらしい舞台は初めて観た。皆さんとても上手で来て良かった」と、レベルの高い舞台に大満足した様子で語った。

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